きらめく宝石箱のような昭和がいっぱいの喫茶店

 「宝石箱という店名もかなり知恵を絞ったんですよ」と金井さんは当時を思い出すように少しだけ遠い目をした。最初は、ルビー、サファイア、ダイアモンドなど宝石の名前もいいなと考えていた。あれこれ迷っているうちに、全部ひっくるめて「宝石箱」にしたらどうだろうという考えに辿り着く。「来てくださるお客さんが宝石で、店はみんなが集まる箱という意味合いです」

透明なガラスの入り口には、手作りのレースのカーテンが施されている。
真ん中が絞ってあるのがレトロな雰囲気を感じさせる

 さらに、金井さんの頭に浮かんだのが、78(昭和53)年に発売された「宝石箱」というアイスクリームだった。バニラアイスクリームの中に、フルーツ味の氷の粒が散りばめられていた。「たまにしか買ってもらえなかった高級品で、女の子なら誰でも思い出の中にあると思います。宝石箱って聞くと、あのアイスを思い出す人が多いんじゃないでしょうか。コマーシャルの中のそのアイスクリームは、キラキラしていて、そういうところに素直にときめいていたことを覚えています」。金井さんの目が心なしか輝いていた。

 「昭和という時代は、いろいろな意味できらめきがあったと私は思っています」。ありとあらゆるものがキラキラと輝いていた「宝石箱」のような時代でもあったのである。

きっさ ほうせきばこ
東京都世田谷区南烏山4ー18ー18小山マンション102
📞:03・5969・8577
営業時間:正午〜午後5時
定休日:水、木

文・今村博幸 撮影・JUN