きらめく宝石箱のような昭和がいっぱいの喫茶店

 店の窓にかかるカーテンや、ソファの背もたれを覆うレースも自分で寸法を測って縫った。そんな店の手作り感が、店内に漂う時間をたおやかに過去へと戻してくれる。「そこも昭和なんですよね。昔はみんな自分でなんでも作ったものです。私自身、母の影響で洋裁もやっていたので、このエプロンも手作りなんですよ」と誇らしげな笑顔を見せた。

雑誌のグラビアには、ピンク・レディーが欠かさせなかった。「週刊昭和」は朝日新聞社が発行していた

 金井さんの話を聞いていると、心と体、行動が上手く絡み合いながら人生を重ねてきたことが手に取るようにわかる。それは、人とモノとのつながりを大切にしていた、まるで昭和の時代そのものという気がしてならない。心から湧き出てきた感情を人の手によって形にする。その間には、もちろんコンピュータなどは介在しえない。「今も自分が向いている方向が常に昔のものという感じはあります。現代風のものに興味はなくて古い雑誌とか本についつい手が伸びてしまう自分にハッと気がつくこともよくあります」

オープンキッチンの上には、明治アイスクリームの宣伝用横断幕。時代を感じさせるデザインが、また楽しい

 飾られているおもちゃや絵なども、金井さんの中から湧き出てきたものを置いてみたら昭和の一場面になったようで、不自然さがみじんもない。それは、早くに亡くした母親の記憶が、金井さんの心の中に生き続けているからに違いない。そんな場所でコーヒーやクリームソーダを飲めば、心が癒やされないわけがないのである。

カラフルなメニューが、かえって昭和っぽい。メロンが定番だが、
新しい味のクリームソーダ(10種類)もそろえてある