やがて、PENTAX 17の企画に「ゴーサイン」が出て、製造の段階へと進む。外観のデザインも、あらゆる人に意見を聞きながら、基本コンセプトは「クラシック」に決まった。まずは、カメラとしてしっかりしたものを目指したと鈴木さんはほほ笑む。「しっかり動くものさえできれば、形は後で僕が絶対になんとでもしますから」と力強く宣言した。マニュアルカメラの機構をもとに、現代に合わせて、電子部材も取り入れた。最後の段階では、「ここはマニュアルの操作を楽しみたいんじゃないか」というところを一つずつ積み上げていった。「だから中には電子制御も入っています。全部がマニュアル、全てがオートっていうのではありません。一つの理由としては、復刻という形にはしたくなかったからです」
わずか290㌘(フィルムと電池を除く)と
首からぶら下げても気にならない重さだ
こだわりはたっぷりと詰まっている。その分苦労も多かった。面白いのはフィルムのフォーマットをハーフサイズ仕様にしたことだ。「若いユーザー向けにと考えた時、まず出来上がった写真を縦にしようというのがありました」。若い世代の方は、アガリをデータのみで受け取ることが大半だという。スマートフォンからSNSで発信したいからだ。被写体を見てパッと撮れる構図は縦の方が相性がいい。ハーフサイズにすれば、36枚取りだと72枚撮れるメリットもあり、今の環境にも合ってる。「やってみたことがあるんですけど、旅行に行って、朝から1日使い続けても大体80枚ぐらいしか撮らなかったんですよ。普通に楽しむならデジカメやスマホのようにお金を気にしないで撮れるんです」。ハーフサイズは、鈴木さんの若い人に対する「ひとつの」メッセージでもあるのだ。
デジタルカメラ全盛の現在、フィルムの値段は高騰している。「昔に比べれば高価です。当時は10本セットでも割と安く買えましたし、場合によっては、現像しに行くと1本詰めてくれたりした店もありました。そのぐらい気楽な値段だったんですね」。若い人たちの感覚は、お金はかかるけどこんなもんだよねというのが、現実の感覚だと鈴木さんは捉えていた。「若い方はわりと堅実で、あまり無駄遣いをしないんです。自分が本当に欲しいものしか買わないと思います。だから、カメラが趣味という方ならフィルムカメラにお金をかけるということはあり得るんです」。もう一つ、あくまでも「フィルムカメラっぽい」機構を極力押し出したかった。「そこは結構難しいところでしたね。それぞれ使う人のイメージがありますから」