アナログの楽しさと使いやすさ両立 PENTAX 17

リコーイメージング(東京・馬込)

retroism〜article254〜

 今や誰もがスマートフォンを所有し、いつでもどこでも写真が撮ることができる「一億総カメラマン」時代だ。撮った写真もその場で見られて、「今日のランチおいしかったよ」「この景色すごく奇麗」とか映える写真をLINEやインスタグラムなどのSNS(ネット交流サービス)にアップすれば、リア充を共有することができる。

 そんな今の時代に、多くのカメラ愛好家たちの口をあんぐりとさせたメーカーがある。カメラや双眼鏡などの光学機器の製造・販売をおこなうリコーの子会社として、2011(平成23)年に設立された「リコーイメージング」だ。同社から今年7月12日に「PENTAX 17(イチナナ)」と命名されたフィルムカメラが発売された。ペンタックスのフィルムカメラとしては約20年ぶりのPENTAX17。クラシカルなフォルムが購買意欲をそそる

 仕掛け人は、開発統括本部に所属する「もともと大の『機械』好き」というデザイナー・鈴木タケオ(TKO)さんだ。20(令和2)年ごろ、ちまたでは若者がフィルムカメラを楽しんでいるという話が流布していた。当然のように、鈴木さんも気になっていたという。何年も前から新品は事実上売られておらず、選択肢は、使い捨てカメラ(レンズ付きフィルム)かトイカメラぐらいだった。「次のもうちょっと上のクラスのカメラを使いたい、ステップアップしたい人たちにとって、選択肢はほぼ中古になっていました」