艶やかで風雅な空間で夢見心地な1日を味わう

 旧目黒雅叙園の3号館として35(同10)年に建造されたホテル雅叙園東京に残る唯一の木造建築だ。階段そのものも付随した七つの部屋にも、それぞれ独特な時間が流れている。かつてはここで、客が食事を楽しみ、誰もが笑顔になれる宴(うたげ)が繰り広げられていた。「昭和の竜宮城」とも呼ばれ、装飾のきらびやかさがこれだけ集まっている場所は他ではちょっと見られない。現在は、年に5〜6回、企画展を開催し、一般公開されている。そこにある壁自体が、作品を盛り上げる小道具になるように展示されるのだ。

(上)6月16日まで「昭和モダン×百段階段〜東京モダンガールライフ〜」を開催中(次回は7月5日〜9月23日に「和のあかり×百段階段2024〜妖美なおとぎばなし〜」を予定)。着物に帽子など、当時の世相が見て取れる(下)「昭和モダン×百段階段〜東京モダンガールライフ〜」の展示の一つ。近代化が一気に進んだモダン東京を感じさせるバーを再現してある

 階段を上がると最初に登場するのが、「十畝(じっぽ)の間」。天井に描かれた23面の鏡板に彼が得意とされた四季の花鳥が描かれている。次に現れる「漁樵(ぎょしょう)の間」の仕上げは、純金箔(ぱく)、純金泥、純金砂子(すなご)が施されている。彩色された木彫日本画に囲まれれば、そこは異次元に感じるほどの心地よい違和感に包まれる。さらに数段上がったところにあるのが、画家・礒部草丘にちなんで名付けられた「草丘の間」だ。欄間には礒部の故郷・群馬の風景が、秋田杉で格子状に組まれた格天井(ごうてんじょう)には花鳥画が描かれている。そして、静水の間、星光の間、清方の間、頂上の間と続く。

(上)漁樵の間。格天井には、菊池華秋の四季草花図。欄間には、尾竹竹坡による五節句が、盛鳳嶺(さかりほうれい)による彫刻で仕上げられている (下)静水の間の欄間と天井にある扇と富士山などの縁起物。天井画が橋本静水の作品

 部屋に入っていくごとに、それぞれ違った畏敬の念が込み上げてくる。細川が最初に心に決めた、「本物の芸術に酔いしれ、夢見心地な1日を過ごしてほしい」という思いが、ホテルの中にたっぷりと染み付いているようだ。

(上)東京都指定有形文化財「百段階段」の最上階にある「頂上の間」(下)「頂上の間」の窓越しに見える緑が美しい

 館内を装飾する豊穣なる彩りの絵画や美術工芸品、焼き物などがまばゆいばかりの美を放っている。昭和初期から積み重ねてきた歴史と伝統が館内の装飾美と相まって風雅な空間を作り上げている。

ほてるがじょえんとうきょう
東京都目黒区下目黒1-8-1
📞:03-3491-4111
https://www.hotelgajoen-tokyo.com/

文・今村博幸 撮影・岡本央

コメント

  1. aki より:

    この様な書込大変失礼致します。日本も当事国となる台湾有事を前に 国民の分断を煽る国内の反日の危険性をどうか一人でも多くの方に知って頂きたいです。

    今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態です。

    世論誘導が生んだ民主党政権、公約反故から、中韓を利す為の超円高誘導による日本企業や経済の衰退、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝や、3万件の機密漏洩など韓国への利益誘導に働き、日本は破綻寸前でした。

    今も内外から中韓の侵略が進む中、あの時彼らが日本をいかに危険な状態に陥れ、一度の失敗がどれだけ後遺症を与えたか、どうか読んで頂きたいです。
    https://88moshi.hatenablog.com/
    メディアに踊らされず、掛け替えないこの日本を知り守る機になる事を願います。