遠くから見れば綺麗に見える 昭和100年の光と影

コラム其ノ拾玖(特別編)

retroism~article284~

 作家・村上春樹の小説に出てくる主人公は言った。「遠くから見れば大抵のものは綺麗(きれい)に見える」と。これまでレトロイズムは、昭和の輝かしい出来事や記憶など、「遠くから見た美しさ」に焦点を当ててきた。

 一方で、心の片隅に持ち続けたのは、美しいとは必ずしも言えない、昭和が内包していた「負の側面」である。昨年「昭和100年」という節目を迎えたが、今ここであえて光を当ててこなかったそれらの事柄に触れることで、1世紀にわたる激動の時代を総括したい。

 まず、我々が心に刻むべきは、この時代が人と人との争いから始まったという事実である。昭和12年の日中戦争を皮切りに、同16年に勃発した太平洋戦争では、日本は一敗血に塗れた。世界で唯一の被爆国にもなった。その後の繁栄は、昭和を一気に「良き時代」へと変ぼうさせていったのである。

昭和の路上のいたるところに、たばこの吸い殻がポイ捨てされていた

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