両さん亀有で逃走中⁉︎ 笑いと人情のこち亀記念館

 70年代ごろ、「週刊少年ジャンプ」は多くの人が毎週買って読むほど人気があり、漫画界は盛り上がりを見せていた。その中心人物の一人が秋本先生だった。当時は、新しいタイプの漫画が次々と登場した。スポーツ根性もの(スポコン)や、ギャグ漫画、さらには少し下品な作品まで幅広く流行していた。そんな中で秋本先生は、「人情」や「人との触れ合い」を描き、お巡りさんとしてはあるまじき行動に走ってしまいがちだが、全然憎めない。そんな両さんというキャラクターを生み出した。社会が成熟し、暮らしが洗練されていく昭和の時代だったからこそ、多くの人が両さんに共感できたのではないだろうか。その空気を的確に捉えたのが、秋本先生の才能だと思う。

階段の踊り場に張ってある「借用書」の数々。いったい合計いくらになるのだろうか

 こち亀」は物語そのもので笑わせてくれる作品である。起こるハプニングは荒唐無稽で、笑い(時には涙)を誘う展開だが、それも両さんだからこそ成立した。そうしたキャラクター作りやストーリー展開の巧みさに、読者は引き込まれていったのだ。

 「記念館ができたことで、亀有の歴史そのものを知ってもらえるようになったと自負しております。ジャンプや単行本を読んでいたとか、テレビアニメで見ていたという方が多くて、改めて両さんの存在の大きさを実感させられました」と小林さん。商店街や地域住民の協力が完成を後押しし、「楽しみにしているよ」という声が多く寄せられたという。

JR亀有駅南口に建つこち亀キャタクター像。ふざけ合う地元っ子が通り過ぎた

 記念館を出ても物語は終わらない。設定では両さんは今も街を逃げ回っている。「どこかで両さんを見つけてください」と小林さんはイタズラっぽいまなざしをこちらに向けた。

 笑いと人情にあふれる両さんワールドへの入り口、「こち亀記念館」。訪れれば、あなたもきっと、この騒動の一員になる⁉︎

©秋本治・アトリエびーだま/集英社

こちかめきねんかん
東京都葛飾区亀有3-32-17
📞:03-6240-7642
開館時間:午前10時〜午後6時(最終入館は午後5時)
休館日:第3火曜日(祝日の場合は直後の平日)
https://kochikame-kinenkan-official.jp/

文・今村博幸 撮影・JUN