遠くから見れば綺麗に見える 昭和100年の光と影

 当時の街並みはお世辞にもきれいとは言い難かった。主な原因の一つは、たばこだったと考えられる。街中や住宅街では歩きたばこが当たり前で、いたるところに吸い殻が落ちていた。通勤・通学客であふれていた駅には喫煙所が設置され、好むと好まざるにかかわらず紫煙が降り注いだ。健康志向が高い現代から見ると隔世の感がある。

 駅といえば、通勤ラッシュがピークを迎えたのもこの時代だった。「殺人的」とも言える、人としての尊厳を踏みにじられる状況が電車内で毎日のように繰り広げられた。

 唾やたんもよく吐かれていた。その対策として駅のみならずデパートなどにもたんつぼが設置されていたが、残念ながら、今ではその姿を見ることはできない。

高度経済成長とともにモーレツに働いた日本人。朝の通勤ラッシュは「殺人的」という表現がピッタリくる。まさに「生き地獄」のような状況だった

 高度経済成長に伴って社会問題になったのが公害だった。急速な経済発展、それを支えた重工業化の波と引き換えに、空は汚れ、水は濁り、土はむしばまれた。特に、硫黄酸化物や煤塵(ばいじん)や粉塵の排出は、身近な問題として存在していたように思う。代表的なのはぜんそくだ。体育の時間に膝を抱えて見学する生徒たちの姿が、今も脳裏に焼き付いている人も少なくないだろう。

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