鉦と太鼓、クラリネットによる昭和歌謡で街中笑顔
実家の前は坂になっていた。ある時間になると、鉦(かね)の音と太鼓に合わせて、サックスの演奏が静かな住宅街に響く。「チンドン芸能社」の親方・永田久さんは、初めて聞いたその音を今でも忘れないという。
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実家の前は坂になっていた。ある時間になると、鉦(かね)の音と太鼓に合わせて、サックスの演奏が静かな住宅街に響く。「チンドン芸能社」の親方・永田久さんは、初めて聞いたその音を今でも忘れないという。
今年に入って半年も経っていないのに、著名人の訃報が相次ぐ。名前を聞けば誰でも知っている多くの人たちが逝去した。命には限りがあり、我々人間を含めた動物、植物にとって死は避けられない。訃報に触れるたびに、「あっ」と声をあげ、「亡くなっちゃったか……」とため息をつかずにいられない。死は避けられないが、残した言動、もっと言えば「存在」を思う時、彼らの「生」がいかにかけがえのないものだったかを思わせる。
かつて身を置いた時代に自分を戻してくれる空間はそう多くはない。しかも、「ほんの一瞬で」となればなおさらだ。
「今春が来て君はきれいになった」 誰もが認める名曲「なごり雪」のサビのフレーズだ。別れ際の刹那(せつな)、去っていく恋人の表情とともに、彼女の存在の大きさに改めて気付かされた主人公の心情がよく表われている。
「たばこは文化である」と言ったのは劇作家の山崎正和氏だ。小説家・開高健は「人生は煙とともに」と、インタビューで答えている。
あの時君は若かった。 松田聖子をはじめ中森明菜、小泉今日子、河合奈保子、早見優、堀ちえみ、柏原芳恵などなど。日本の芸能史において、アイドル全盛期といえるのは1980年代だと断言したい。
みんな歌謡曲が好きだった。 新宿にある「ディスクユニオン 昭和歌謡館」に一歩足を踏み入れた誰もがそう思う。オレもあたいも歌謡曲が好きだったんだと。