レトロ散歩 其ノ漆
もはや、「人の情」は遠い日の幻になりつつある。日々の食料を調達する大手スーパーマーケットしかり、日用雑貨を売る深夜まで営業している巨大ディスカウントショップや家電量販店も同様だ。普段我々が買い物で訪れるのは、他の店より安価という理由のみで、人情に触れるなどという機会はほぼなくなった。いくら大きなスーパーマーケットができようとも、魅力的な個人商店が並ぶ商店街が廃(すた)れない理由の一つはそこにある。
visiting old, learn new
もはや、「人の情」は遠い日の幻になりつつある。日々の食料を調達する大手スーパーマーケットしかり、日用雑貨を売る深夜まで営業している巨大ディスカウントショップや家電量販店も同様だ。普段我々が買い物で訪れるのは、他の店より安価という理由のみで、人情に触れるなどという機会はほぼなくなった。いくら大きなスーパーマーケットができようとも、魅力的な個人商店が並ぶ商店街が廃(すた)れない理由の一つはそこにある。
まるで、心を踊らせる遊園地のアトラクションへと誘うエントランスように、ポッカリと口を開けていた。埼京線十条駅北口。芝生を敷き詰めたロータリーの向こう側にある十条銀座は、新旧入り乱れた各種店舗が並ぶ、商店街フリーク(そんな人がいるかどうかは定かではないが)にはたまらないアーケード街である。
路地裏は、大通りとは世界が別だ。角を曲がった瞬間に空気は一変し、垣間見えるのは、そこに住む人たちの暮らしである。路地裏を曲がる手前、大通りの商店街にあるのは、日常を埋めるパーツだ。
「少し前までは、わりかしたくさん残っていた看板建築も、ずいぶん減ってるの。寂しい気もするけど、時代だからしょうがないわよね」 数年前に閉店した額縁の店「優美堂」を撮影していると、近所で店を営むというの品のいい初老の婦人が話しかけてきた。
作家・田山花袋が1917(大正6年)年に出版した回想集「東京の三十年」の中で、神楽坂に言及している。「神楽坂の通り……依然として昔のまゝである」
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かつて、「スポ根」という言葉があった。「巨人の星」や「エースをねらえ!」などの、「スポーツは根性だ」といった作品群である。我々は、生きる意味を物語から学んだ。中でも「あしたのジョー」は、金字塔と言っていいだろう。