少女らの夢と憧れが詰まった昭和の人形が一堂に

 応接間やピアノの上、玄関、床間にまで飾られていたポーズ人形は、昭和30〜40年代中頃まで、一般家庭で大流行した日本製の人形だ。宇山さんは、「高度成長期に生産、消費され処分されてきたものにこそ、素敵なものがたくさんあったことを再認識」しているという。 

 会場の順路は、人形を中心に、子供が成長するのに合わせて進んでいく。まず、赤ちゃんが寝る小さい子供布団を敷いた部屋が現れる。シールが貼ってあるたんす、古い柱時計などの部屋の再現から始まり、小学校に上がると、バスケットなどのおしゃれグッズやファンシーグッズで遊んだ。ぬいぐるみを集めた女の子も多かっただろう。

貴婦人のような装いがフランス人形(上段)。カジュアルな服装をしているのがポーズ人形だ。実物の身長は両方とも50㌢ほどだが、見栄えがする

 中学生になると、自分の部屋があてがわれるようになる。ファッションにも興味がわき、鏡台が置かれ、髪をとかし、リボンを結んだ少女の姿が目に浮かぶようだ。部屋にはベッドも置いて可愛らしいピンクのベッドカバーで覆っている。昭和40年代は、それら全てが彼女たちの憧れでもあった。広報の長谷川武史さんは言う。「1、2年で廃れるものではないので、1周見て回っていただければ、それぞれの来館者にとって思い出の品が出てくるかと思います」。会場内のBGMには雪村いづみの曲が流れていた。 

 楽しいイベントも予定されている。1月22日午後1時〜午後3時にはプロデューサでもある宇山さんを招き、「宇山あゆみ 新春スライド&トーク」(入場無料、事前申込制、要本展チケット)が行われ、展示されているコレクションの解説や楽しい思い出話を披露する。また、株式会社タカラのリカちゃん課で活躍していたイラストレーターのタケヤマ・ノリヤさんをゲストに「昭和メルヘン」トークも。さらに、同21、22の両日は、「昭和レトロなイラストで缶バッジづくり」も体験できる。缶バッジの絵柄は、トークイベントにも参加するタケヤマさんの可愛いイラストを使用する。  本展入り口。なんとなく手作り感が漂い、素朴な雰囲気がいい

 午前9時半〜午後5時(最終受付午後4時半)。月曜休館。入場料は大人900円、小中学生450円。問い合わせは、045・671・9361。

【レトロイズム編集部】