二大巨匠が切り取った1930年代の東京

 最初に写真を始めたのが1歳年下の濱谷だった。15歳で初めてカメラを手にした濱谷は、その重量感に「かつて経験したことのない不思議な引力、充実感に心を奪われた」と語っている。濱谷に影響された桑原は「うっとおしい時代、うっとおしい青春の自意識が、駆って写真うつしに走らせたのだろう」と振り返る。

浅草区浅草公園六区=1937年、桑原甲子雄

 のちに濱谷は民俗・風土・自然をテーマに世界をまたにかける写真家となる。一方、桑原はアマチュアとして写真を撮り続け、戦後に写真雑誌の編集者・評論家として名をはせた。同展では、生涯にわたり信頼関係にあった二人が撮影を始めた頃に切り取ったそれぞれの東京(モノクロ66点)を紹介する。風俗だけでなく、30年代という時代の複雑な気分までもが写しとめられているのは、桑原と濱谷のなせる技といえるだろう。

靴磨き・靴修理 銀座=1936年、濱谷浩 

 開館は午前10時〜午後5時。毎週月曜休館(祝日の場合は開館)。入館無料。問い合わせは03・3261・0300JCIIフォトサロン

【レトロイズム編集部】

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