昔ながらの銭湯を再生 「記憶をつなぐカフェ」に

 レボン快哉湯の生い立ちを聞いていると、全てが人と人とのつながりによって成り立っていることが見えてくる。「ご縁ですよね」と多田さんがほほえんだ。記憶を繋いで過去から未来へ紡いでいく。「銭湯文化、日本の文化をこれからも繋ぎながら、若い人、新しい人たちにもいらっしゃってもらいたいですね」

カフェのカウンター。下の部分のタイルは、日差しの角度によって色が変わる

 供するものは新しい。バリスタが淹(い)れるコーヒーと契約農家直送の果実で作るアイスクリームのマリアージュだ。「グアテマラとキウイのアイスクリームはよく合います。今の季節柄、マロンもやってます」。カフェなので、おいしいドリンクを提供することは基本だ。ただレボン快哉湯ではもう一つ見逃せないものがある。90年生きてきた建物の生き様そして銭湯に通っていた人たちの息遣いや暮らしぶりだ。宮造りの外観が見られるのは、神社仏閣と銭湯くらいなものだ

 加えて現状を受け継ぎながら未来に向かって変化を遂げることも大切だ。多田さんは言う。「今まで銭湯として使ってくれていたけれど、カフェになっても来てくだされば、なおうれしいですね。銭湯をリノベーションした場所というのも珍しいので、それを見にきたという人もいますよ」

 過去の記憶を現在、そして未来へと、レボン快哉湯を媒介にして繋いでいく。古い文化を残しながら新しい新しい空間が生き生きと再生するのである。

れぼんかいさいゆ
東京都台東区下谷2-17-11
📞:03-5808-9044
営業時間:午前11時半〜午後7時(土日は午前11時から)
定休日:不定休

文・今村博幸 撮影・岡本央

 

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする