ヴィンテージライターの奥深き世界をのぞく

 19世紀も後半になると、さまざまな着火具が開発された。20年代に入ると、オイルライターが盛んに作られるようになった。20~50年代にかけて、欧米ではアール・デコ調がトレンドになり、デザイン性の高いライターが数多く生まれた。第二次世界大戦中は金属使用の制限でライター製造は厳しい時代を迎える。しかし、戦争が終わるとライター産業にも改めて光が当たる。ガスライターが登場して大衆化が進んだのである。日本でもライターは、輸出産業の一つとして発展し、日用品が製造されることで経済的な復興の足がかりとなった。ジッポーの第二次世界大戦中の軍用モデル「ブラッククラックル・モデル 」(1940年代、アメリカ)。41年以降45年の終戦まで、ジッポーは一般市場向けの製造を取りやめ、全ての製品をアメリカ軍用とした。従来は真鍮(しんちゅう)製だったが、真鍮が軍需物資だったため、鉄製の基体に錆(さび)止めの黒い焼付け塗装を施した「ブラッククラックル」モデルが採用された

 同館が所有する資料の中から、ライターの前身となるさまざまな着火具やダンヒル(イギリス)、ロンソン(アメリカ)、エバンス(同)などのメーカーが手がけた名品や見る者の目を釘(くぎ)付けにする興味深い造形のテーブルライターなど約200点を展示する。さらに、戦後の国産オイルライターも並べられ、同館のある隅田川周辺の地場産業でもあったライターの歴史が紹介されている。

ライター付スロットマシーン(日本)。レバー

  をすとスロットが回り、右上の穴から火が出る

 小さなライターが、歴史の荒波に揉まれながら、日本経済を救った商品の一つになった。ライターはまさに当時の小さな巨人だったのである。

 午前10時〜午後5(入館は午後430)。月曜休館。入館料は大人・大学生100円、満65歳以上(要証明書)、小中高校生50円。問い合わせは、0336228801。

【レトロイズム編集部】

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