銀幕の大スター、永遠の歌姫も笑顔でお出迎え⁉︎

 9年前から、武田さんは「マルベル80‘s」という撮影プランを始めた。私もプロマイドを撮りたいという客の話を聞き、芸能人ではない客に、80年代のグッズを持たせたり服を着せたりしてプロマイドを撮る。「遊び感覚で、一般の人向けに記念写真ではなく、あくまでも『プロマイド』を作ってみませんかという提案でした」。もちろん、スターを撮影するのと同じ手法だ。「バストアップで手を写す。ファンは指先まで見たがりますからね。ファンに向けたつもりで撮るんです」

印象的で素敵な写真になるように、武田さんが的確な指示を出してくれるので、安心して任せれば、あなたもアイドル! 着用しているのは、マルベル堂オリジナルスタジアムジャンパー

 それは師匠である中村孝氏(2014年死去)から受けた教えが導いたものかもしれなかった。師匠から言われ続けていたのは、「マルベル堂のスタジオに来たら全員スターだと思え」「マルベル堂のカメラマンは、芸術写真を撮っちゃダメだと。プロマイドは芸術写真ではない」「撮るべき写真は主観を入れず、ファンが喜ぶ、欲しいと思う写真に仕上げなくてはならない」など。「でも一般の人にはファンはいないんじゃないですか」と尋ねると、武田さんは首を左右に振った。「20代のお客様だったら、両親が見たりおじいちゃんやおばあちゃんが眺めたり、彼らが子供、孫のファンなんですよ」。「『あんたマルベル堂で撮ってきたの。素敵じゃない』って言ってくれる。それでいいわけですよ」撮影に使う小道具や衣装も、昭和感満載だ。ボディコンも用意されていた。80年代バブル期のOLの象徴だ

 さらに武田さんは微笑(ほほえ)みながら続ける。「自分のプロマイドをSNS(ネット交流サービス)にアップしますから、それを見た友達がファン心理をもつのです」。インスタ映えしようと思ったら、スマホで撮って加工した方がいい。「そうじゃない写真を僕らは撮ってるんです」。今から見れば、昭和はダサかったかもしれない。そんな発想で素人のプロマイドを制作すると、逆に面白い写真になる。撮られた本人も、満足して帰ると言う。撮った写真はすぐに客の手に。モデル役を買って出てくれたマルベル堂のスタッフ(左)と武田さん

 今でも、暗室の工程と同じ作業ができるラボ機で現像するし、銀塩印刷にこだわる。取り方も変えない。それがマルベル堂のポリシーである。だからこそ、武田さん、すなわちマルベル堂で撮ってもらうことに大きな意味がある。マルベル堂で撮った写真(プロマイド)は、あらゆるドラマを内包し、これからも人々の記憶に残り続けていくことだろう。

まるべるどう
東京都台東区浅草1-30-6
📞:03-3844-1445
営業時間:午前11時〜午後4時(平日)
午前10時30分〜午後5時(土、日、祝)
定休日:無休
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文・今村博幸 撮影・JUN

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