オールドミニ復活の立役者 世界に一つだけの車を

 「なぜかミニを運転していると、周りの景色がドンドン流れていく。ハンドルにしがみついてないと、どこかに行っちゃうような気にさせるんです。首都高を60㌔ぐらいでゆっくりと走っていると、なんていいんだろうって思います。感覚的には、オープンカーと同じ。潮風を感じながら湘南あたりをゆっくりと流して、帽子が飛んでいかないぐらいの感じが一番楽しいんです」。なんだかんだ言いながら、やっぱり丸山さんはミニが好きらしい。「それと、車を降りて、ドアを閉めるときのボンっていう音が、昔の車らしくていいでしょう」

MGT14と丸山さん旧車のコレクターでもある丸山さんのお気に入
り。クーパー・カー・カンパニーのMGT14。
50(昭和25)年に2台作られたうちの1台。ET
Cと、カーナビもつけて、北海道まで旅行した

 日本ではどちらかというとミニは、マニアのための車だった。「僕が73年に店を始めた頃は、イギリスやミニのスタイルが好きで、しかもオリジナルじゃないとダメ、そういう人たちばかりだから、売れなかったんだと考えています。でも、『もっと気楽でいいじゃないって。国産のミラーつけたってオーケー、気楽に行こうよ』って僕が言い出して、イギリス車という固定概念が消えていったのです」。多くの人が、「俺も私も乗ってみようか」となったのも、ミニブームを生み出した丸山さんの存在があったからにほかならない。老若男女、ミニが好きじゃなくても、「乗ったら楽しい車ですよ」と広めることで、オーナーを増やしていった。「よく、どこがいいんですかって聞かれるけど、所有者が楽しんで乗っているところだと僕は答えます。ハンドルを握る全員が、ニヤニヤしながら運転してますよ」

ミニマルヤマの外観ガラス張りの店の中には、「オールドミニ」などが並んでいる。美しい

 いずれ遠くない将来、ガソリン車がなくなるだろうといううわさがちまたに流れている。そんな状況下で、「最後に乗りたいガソリン車はミニ」って答える人は想像以上に多いと、丸山さんは不敵に笑った。

みにまるやま
東京都墨田区東墨田2-21-2
📞:03-3613-6622
営業時間:
午前9時〜午後6時(月〜土)、正午〜午後6時(日)
午前9時〜午後6時(第1日曜)
定休日:なし

文・今村博幸 撮影・JUN