オールドミニ復活の立役者 世界に一つだけの車を

 つまり、故障しても部品が必ず入手できるのである。どんなに古い車でも修理が可能だということだ。しかも、安価である。それは長く乗ることができることを意味する。気分によっては、オリジナルのパーツを一つ選んで個性を出すのも面白い。部品がたくさんそろっているので、自分の好みにワンオフ(オーダーメイドの部品)で世界に一つだけのミニを手に入れるのも魅力の一つになっている。「うちにある部品は、40年間ずっと置いてあるものばかりです。ワイパーブレードが1400円。ファンベルトは2000円、テールランプのタマなんかイギリスから輸入したものが200円なんです。これは、1959〜67年、69〜70年とそれ以降、テールランプが全部同じだからできること。パッキンやゴム、ボルトなどの細かい部品もいまだに作られています。まさにミニの強みなんです」。手入れをして大事に扱えば、ジョン・クーパーなら60年ぐらい軽く乗り続けられる。「最低26万㌔は走れると思いますよ」下手すれば100年までいけるかもしれないと、さらに自信をのぞかせる。「例えば、最近持ち込まれた車で80年代のミニがあります。お父さんが亡くなって、18年間倉庫に置いてあったのを息子さんがまた乗りたいということでした。僕は『きれいに直して新車同様にしますよ』と彼に約束しました」

ミニの車内スピードメーターが中央に配されたインパネ。
手前は88年に作られたミニクーパーのカタログ

 ほかにも、丸山さんが30年前に売った62(同37)年製造のミニを持ってきた千葉の人がいた。しばらく乗らずに自宅にて置いておいたけれど、また乗りたくなったのでと言うので、全部やり直した。「ミニは、30年前の車がまた新品(同様)に戻るんです。現代風にするために、ヘッドライトはLEDにして、発電量を増やし、ブレーキも効くようにして、新品の部品を積み直してね」。ハンドルは、30年前の丸山式を取り付けた。「長く乗るオーナーが多いのがミニの特徴でもあります」。親子2代で大事に乗っているという例も枚挙にいとまがないと、丸山さんはうれしそうに目を細める。「僕はミニが大好きで、車屋をやってるわけではありません。ミニがお金になると思ってやっているんです」。それはつまり、メカニックとして自己満足に流されることなくプロの仕事をするということに他ならない。

SMAPのCDジャケットに登場したミニ

(上)SMAPのセカンドアルバム「SMAP002」のジャケット撮影用に特注されたミニ。非売品で展示していたが、のちに売りに出し、瞬時に買い手がついた(下)「SMAP002」のジャケット。丸山さんのミニと共に仲むつまじそうなメンバー6人(当時)の姿が懐かしい