年代物のジュークボックスにも新たな命吹き込み

 1曲を聴くのに、さまざまな工程を経なくてはならない面倒が苦痛ではなくなってしまうのは、その先にある、音楽という甘美で心震わされるご褒美があるからだ。しかも15㌅の大口径スピーカーから飛び出す音は、他では味わえない、体をとろけさせるような美音だ。「1曲を大切に聞く気持ちで、セレクトボタンを押すんです。バーやレストランに置かれたジュークボックスは、料理やお酒、インテリアなど雰囲気もあると思いますが、家のオーディオとは全く別物の音がする。曲は同じでも、違う曲を聴くぐらいの新鮮さがありますよね。アナログの柔らかい音が響き渡る感じは、いいなと思いますね」

LPレコードが収まる最新モデルでは、曲名と
アーティスト名が書かれたボードの趣も違う

 基本的に、修理を頼まれれば、極力直す方向で検討するが、時間と料金は少々掛かってしまうことになる。「弊社としては、直したい気持ちが当然あります。古いものを大切に使ってる方の望みに応えたいからです」。長岡さんは、一瞬間をおいた。「根底にあるのは、一台でも多くのビートルやジュークボックスを、未来へとつなげたいということです。その価値があると信じていますし、古いものを大切にするのがFLAT4の基本的な考え方なんです。古いから絶対いいとは言いませんが、古いものには、良いものが多いのは事実です」。長岡さんの目が夕日を浴びて輝いていた。「ビートルの部品は今でもそろいますが、ジュークボックスに関しては、部品の入手に苦労することが頻繁にあります。その中で、部品を取るために1台をバラしたり、海外のコレクターとのコネクションなどを大切にしながらパーツの壁を克服していくのが、僕たちの責務だと思っています」

横浜・本牧からアメリカ軍が撤退して、最初の頃に建てられた場所を、そのまま使っている。道幅が広いのは昔の名残か

 当時のものがもう作られていないからこそ、一台でも多く、少しでも長く残していきたいという思想が、FLAT4全体に満ちあれている。

ふらっとふぉー
横浜市中区本牧和田12-4
📞:045-305-6900
営業時間:午前10時〜午後6時(土・日)午前10時〜午後7時
定休日:なし(GW、夏期、年末年始休業あり)

文・今村博幸 撮影・JUN

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする