カブトムシ一筋45年 オーナーに安心届け続け

 「VWの空冷車は2003年までメキシコで生産されていました」。ショップフロント担当の田村真至さんは言う。「元々、乗り物が好きでした。中でも旧車に乗りたいと思っていましたが、それが空冷のビートルでした」。ちょうど出物があって見に行くと、店主が、故障の際も、パーツには絶対に困らないと告げた。「ここに勤め出して改めて感心したのですが、彼の言うことは本当でした。VWなら、腕のいいメカニックはいるけど、パーツがないから直せないという心配は不要です。すごいことですよね」。他の旧車と大きく違う点だと田村さんは言う。

フォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)の純正ホイール。ピカピカだ

 ドイツで生まれた車がヨーロッパに伝わり、アメリカで大ヒットした。つまり、マーケットが世界中に広がっているのだ。実は、モデル別の販売台数は世界一である。当然パーツも世界中で作られ売られていることになる。「パーツはアメリカを中心に、ヨーロッパやアジアなど、世界各地から輸入しています。逆に、我々が欲しいと思った当時のアイテムなどを復刻版としてリプロダクトし、世界中のVWファンに販売も行っています」。それは、日本国内にいる多くのオーナーに安心を届けるためのFLAT4の企業努力でもある。

黒が55年製、左は57年製。まるで仲のいい夫婦のように、または親友のように並んでいた

 とはいえ、エンジンが空冷式なので、水の心配がいらず、大きな故障もしにくい。「当時のディーラーでは、10万㌔走った時にもらえるメダル(オーナー表彰制度)がありました。『これからもっと乗ってくださいね』というフォルクスワーゲン社からの心意気です。10万㌔乗ったら買い替えましょうとなるのが普通ですから」。店内を見渡すと、きちんと整備されたVWが並び、その合間には、部品やアクセサリーなど、歩いているだけでも楽しいし、ファンなら何時間いても飽きない。

天井からボンネットがぶら下がる、ダイナミックなディズプレー