昔懐かしい花柄コップ 老若男女のハートにグサリ

 この花柄グラスに対する、顧客の思い入れがあった証拠でもある。年配者にとっては、子供の頃に飲んだ人工的な味のするジュースの味とともにあるかもしれないし、若い人たちには、他にない唯一無二の面白さ、可愛らしさを感じさせる商品となったのだ。「極力、オリジナルに近い風合いを残すように作っていますが、一つだけ違いがあるんです」と川島さんがいたずらっぽく笑った。「カップ内側の柄の部分に『アデリアレトロ』と小さく印刷されているんです」。老舗ガラスメーカーならではのこだわりと、ちゃめっ気、センスの良さが感じられる。


津軽びいどろを生産する北洋硝子の浮
 球(うきだま)がショールームの片隅に

 「昭和の時代には、家庭用品の一部として、皆さんに買っていただきました。そして、いまだに、おばあちゃんの家の食器棚にあるよって言ってくださる方もいます。それだけ、全国に浸透したということだと自負しております。アデリアレトロもおかげさまで多くの方々にご愛顧いただきましたが、これを一過性のブームで終わらせたくはありません。今、若手の発案者を中心に、他の企業とタイアップも進行中です。ポップアップでアデリアレトロを使った喫茶店を出店してみたりなど、いろいろな案が出てきているところです。若者を中心にした文化の一部になれるように育てていければと思っています」

東京ショールームに入った瞬間に目に飛
び込んでくるアデリアレトロの並ぶ棚 

 石塚硝子が作ったアデリアレトロが意味するものは大きい。古いからいいのではない。いいもの(時代背景を含めた心弾ませる花柄)は古くても必ず残るということを、鮮明に証明しているからである。

いしづかがらす はうすうぇあかんぱにー
愛知県岩倉市市川井町1880
📞:0587-37-2024

https://aderia.jp

文・今村博幸 撮影・JUN

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