「あぶデカ」を歩く〜関内編〜

あとがき

 あぶない刑事(あぶデカ)は1986(昭和61)年10月から87(同62)年9月にかけて日本テレビ系列でオンエアーされた。それまで刑事ドラマといえば、「太陽にほえろ!」「西部警察」などに代表されるように真面目で正統派なものが多かった。一方で、あぶデカといえば、派手なアクションに加えて、ハードボイルドやコメディー要素もふんだんに織り交ぜながら、男性のみならず、女性や子供たちにも人気を博した。タカこと鷹山敏樹(舘ひろし)とユージこと大下勇次(柴田恭平)の掛け合いや、イジられ役の町田透(仲村トオル)とのからみ、真山薫(浅野温子)が毎回披露する派手なコスプレも話題となった。翌年には第2シリーズ「もっとあぶない刑事」が放送され、スペシャルドラマのほか、映画も7本製作された。

 物語は、神奈川県警港警察署(後に横浜港警察署)の捜査課に勤務するタカとユージが横浜の街を舞台に暴れまくる。主にテレビシリーズで撮影された新港埠頭、高島貨物駅などはみなとみらい21に変貌を遂げ、幾度となく登場したバンドホテルも開発によって取り壊された。今ではすっかり様変わりした地区もあれば、エンディング曲「冷たい太陽」の映像で流れた保税倉庫(横浜赤レンガ倉庫)、タカとユージのの行きつけの店「ハーバービュー・レストラン」、さらに、横浜税関、横浜港大さん橋、山下公園、港の見える丘公園、中華街など当時と変わらぬ風景が残っている場所も数多くある。

 あぶデカの魅力の一つに激しいカーチェイスが挙げられる。車両提供は日産自動車だったため、劇中に出てくるクルマは「スカイライン(R31)」「セドリック/グロリア(Y30)」「フェアレディZ(Z31)」など同社製がほとんどだった。中でも一番人気はゴールド/シルバーのツートンカラーの「レパード(F31)」だ。ちまたではソアラに押されて影の薄かった同車だったが、ドラマの影響で火が着き、一躍人気車となった。山下臨港線プロムナードの高架下を疾走するF31の姿が格好よかったのを覚えている。その他、タカがスズキ GSX750EやハーレーダビットソンXHLなどの大型バイクにまたがり犯人(容疑者)を追跡するシーンも印象深い。

 超絶アクションや粋なせりふ、軽快なBGMなどテレビ画面や銀幕から漂っていたのは古き良き横浜の香りだった。

文・SHIN 撮影・柳田隆司

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