レトロ建築探訪其ノ壱

鉄鋼会館(東京・茅場町)

(上)戦後の産業をリードしてきた鉄鋼業界の「鉄の館」である「鉄鋼会館」は、1966(昭和41)年に完成した。当時の先端鋼材がふんだんに使われ、当時としては画期的な建物として人々の注目を集めた。最新の工法、構造材や新建材であるステンレス鋼、塗装なしで使ってもさびることが少なく、腐食も内部に進まない鋼材を用いるなど、建物そのものが鋼の博物館といった趣である。構造体だけでなく、外装、内装、設備、家具装飾品などの細部にわたってステンレスなどの鉄鋼製品が使われているのが特徴だ(中)数年前までは蛍光灯が使われていた(下)長丸状の窓は、かつて最先端と言われていたオールステンレスの列車をイメージしたデザインである。光の反射がまるで未来を照らすようだ

東京カテドラル聖マリア大聖堂(東京・江戸川橋・護国寺)

(上)近代的な形状と構造で構成された世界の丹下健三の作品。滑らかな曲面で、一見すると教会とは思えない。実はこの教会が完成した同じ1964(昭和39)年、国立代々木競技場も建てられている(中)フランスの南西ピレネー山脈のふもとにある街・ルルド。霊泉が湧き出たという洞窟が教会敷地内に再現されており、聖母マリアが見下ろすように安置されている(下)大聖堂の脇の鐘塔。高さは16.68㍍.。雲の切れ間からのぞく太陽との共演は、神が何かを告げているようにも見える

蔵前橋(東京・蔵前・両国)

(上)蔵前橋通りが隅田川に架かるのが蔵前橋。関東大震災から復興時、1927(昭和2)年に完成した。アーチ形の構造の上部に路面がある上路式。シンプルで水上からの見通しも良好だ。力士のレリーフが施された高欄を歩くのも楽しいが、橋の真下に辿り着ける遊歩道から見るシンメトリー(左右対称)の構造も美しい。黄色に塗装されているのは、江戸時代の米倉をイメージしている(中)橋の下は、新旧の遊覧船や運搬船などがひっきりなしに通る。隅田川がいまだ生き続けている証拠だ。23)松本零士氏がデザインした近未来的な遊覧船ホタルナを、アオサギが羽を休めながら橋脚の土台で眺めていた(下)蔵前橋のたもとにある浅草御蔵跡。この辺りには、江戸時代に年貢米や買い上げ米などを収納・保管した蔵が並んでいた。ただ蔵前という町名は1934(昭和9年)になってからつけられた

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