伝説のトキワ荘を忠実に再現 昭和の遺産を後世に

 実際に、藤子不二雄Ⓐを誘ったのは、手塚だった。「トキワ荘のマンガ家たちは、投稿仲間でもありました。手塚先生を中心に、『ここに住みなよ』というようなことを言いながら、誘い合って入居したそうです。だから、奇跡ではあるかもしれませんが、偶然だけとも言えない気がします」

トキワ荘に対する熱い思いを持ち続ける小林千晴さん(向かって左)と熊谷崇之さん。丁寧な対応に感謝

 一つだけ間違いのないことは、その後のマンガ人気の元を辿ると、トキワ荘に行き着く。59(昭和34)年に週刊少年サンデー、週刊少年マガジンが、69(同44)年には少年チャンピオンが創刊。一時は各誌が毎週100万部を売り上げるほどの人気を博した。中でも、「ドラえもん」は、いまだに子供たちに愛されてやまない。トキワ荘は、社会にある「楽しいこと」の根っ子なのである。「奇跡か偶然か必然なのかは置いておいても、マンガは日本を飛び越えて、世界各地で読まれています。礎を築いた人たちは、トキワ荘の住人であった先生方です。その事実もトキワ荘と言う存在も世界に一つと言っていいでしょう。大切にしなくてはいけないものだと思っています」 トキワ荘の全景。外観も内感も当時の雰囲気を忠実に再現していることに感心させられる

 トキワ荘は、街の人の誇りであると同時に、日本ひいては世界におけるかけがえのない遺産なのである。

※手塚治虫の「塚」は旧字体

ときわそうまんがみゅーじあむ
東京都豊島区南長崎3-9-22(南長崎花咲公園内)
📞:03-6912-7706
開館時間:午前10時〜午後6時
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)
  入館料:特別企画展期間は有料
文・今村博幸 撮影・岡本央

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