昭和グッズと熱き心に触れ、極上の珈琲を味わう

 昭和堂は、彼にとって、そして客にとっても、心から寛げる、居心地の良い場所になった。店を開くと、「これも飾って」などと客が持ってくるものなども増えていった。畑中さんが言う。「彼らはみんな、昭和が大好きなんです。多くの人に見てほしいという気持ちで、もって来られるようですね」。頑張れば頑張るだけ、ごほうびがあったのが昭和だったと畑中さんは振り返る。「だから、いい思い出がたくさん詰まっているのが、これらの小物なんです。それらをさかなに会話が弾む。例えば、壁の額に入っているデストロイヤーのマスクは本物ですが、そのマスクを見て、話が盛り上がれば楽しいじゃないですか」と畑中さんはほほ笑んだ。

 畑中さんの話しぶりや表情は、彼が淹れる
コーヒーと同じように、清らかに澄み切っ
ている。繰り出される会話もしゃれている

 いわゆる「お茶をする場所」はさまざまな呼び方をされる。喫茶店、喫茶室、パーラー、サテン、茶寮、コーヒーショップ、最近ではカフェなどあるが、昭和堂は、まごうことなき珈琲(コーヒー)専門店である。普通と違うのは、畑中さんが集めた懐かしい昭和のポスターやおもちゃが散りばめられているところだ。自信ありげな表情で畑中さんが話す。「メインはあくまでコーヒー。その味を引き立たせるためにクッキーやケーキ、トーストなどを用意しています。ガムシロップを含めて、ほとんどが手作りです」

三田明をはじめ思わず見惚れてしまう、往
年の俳優の写真がさりげなく飾られている

 畑中さんが淹れるコーヒーの味を完成させるアイテムがある。添えられた手作りの生チョコレートだ。いろいろと探したが、思い通りの商品が見つけられなかったので、試行錯誤のうえで自家製にすることにした。確かにコーヒーと共に味わうと、思わず天を仰いでしまうほど相性は抜群だ。口溶けの良さも自慢で、「口に含んで2秒で溶ける」と畑中さんはうなずいた。「もちろん味わい方は人それぞれでいいのですが、もし私の希望を言わせていただけるなら、基本はブラックで楽しんでいただきたい。チョコレートで口の中を甘くしてもらってから飲んでいただければと考えています」

少年マガジンに登場した当時の「ゲゲゲの鬼太郎」。生まれた
墓場から、犬のように首輪で引かれている場面のフィギュアも

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コメント

  1. Keiji Yamazaki より:

    一歩ドア開けるとタイムスリップするような昭和堂さん。店内の品々を見てるといろいろな思いが横切りホッと癒してくれる至福の時間です。
    マスターの煎れる珈琲は絶品。

    • SHIN より:

      レトロイズム〜retroism visiting old, learn new〜をご愛読いただきありがとうございます。コーヒーはもちろんのこと、フードや飾られているモノに対するマスターの深い愛情が感じられますね。