令和の若人に昭和の元気と活気、情熱を届けたい

 消費者が情報を得るのは、ラジオかテレビ、新聞や雑誌だったが、特にテレビでは、見たこともない商品が連日のように、紹介されていた。「プロダクト自体が優れていたからこそ、コマーシャルにもインパクトがあった。それでなくては、消費者には受け入れられなかったでしょう」。もう一つの特徴は、多くの商品が極めて革新的だったところだ。インスタントラーメンは最たるものの一つだろう。「チキンラーメンはいい例です。お湯を入れるだけでラーメンが食べられるなんて驚きでしかありませんでしたよ」

昭和の駄菓子屋を再現しているコーナー。サクマのいちごみるくやトライデントシュガーレスガムなど郷愁を誘う商品も

 一方、消費者にとってみれば、値の張るものでも、なんとか手に入れることができるようになった。高度経済成長のおかげである。物価は上がったが、並行して給料もグングン上がった時代である。「テレビやカメラなどはサラリーマンにも手が届くようになりました。高価でしたから、皆さん大切に使います。結果、思い入れも愛着もわいてくるから簡単には捨てません。そんな状況の中で残ってきたものが、当館には展示されています」。商品と持ち主の関係が、親密であったことは想像に難くない。押し入れの奥にしまわれた、使わなくなったが捨てるには惜しい。どこかで役に立ててほしいという持ち主の思いが、ここに飾られている商品には詰まっている。

日本専売公社のキャッチフレーズは秀逸だった。
いわく「たばこは生活の句読点」。ゴールデンバ 
ットは、2019年まで現役だったロングセラーだ 

 同博物館の開館は99(平成11)年。「昭和」において我々が日常的に消費していた商品(菓子・飲料、雑貨、文具、薬など)の包装にスポットを当てて展示している。パッケージは、品物を思い描かせ購買意欲を想起する重要な「アイコン」である。「この切り口は、日本では最初の試みだと自負しています。メーカーに保存されているものも少ない。それらを見られるのが、当館の存在意義だとと考えてます」

瓶詰め売られていた牛乳や乳酸飲料の紙の蓋(ふた)。よくぞ残してくださいました

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