時をかける昭和の名曲カバーにココロ弾ませ!

 一方で、過去には、この曲がカバーだったの?という曲も少なからず存在する。例えば、皆川おさむの唯一のヒット曲「黒ネコのタンゴ」はヴィンチェンツァ・パストレッリという4歳の女の子が歌ったイタリアの童謡。「圭子の夢は夜ひらく」は、園まりの「夢は夜ひらく」が元祖。尾崎紀世彦の「また逢う日まで」の元歌は、ズー・ニー・ヴーの4枚目のシングル「ひとりの悲しみ」だ。

 現在も、音楽の一ジャンルとして、カバー曲は存在し続けている。かつての名曲が、絶妙に形を変えて姿を表すのその様は、音楽の多面性や柔軟性を表すものかもしれない。いずれにしても、楽曲そのものに魅力がないとなしえない。聴く者に対して、複雑な感情を覚えさせ、新たな感動をもたらす。何度も繰り返し現れる新たな世界観は、カバーという手法でしか味わえない。ひとつの曲が持つ力を再発見する極めて興味深い手法でもあると言えるだろう。

 そこに例外なく存在するのは、不思議な響きを伴う新しさと言いようのない懐かしさなのである。

文・今村博幸

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