ぬくもりと希望の空間 銭湯の魅力に迫る特別展

 興味深いのは、第2章の「東京型銭湯」である。東京を焦土と化した関東大震災の後、新しい銭湯が登場した。豪奢(ごうしゃ)な宮造りの銭湯が次々に建てられ、憩いのためのメッカの様相を呈したのだ。見どころの一つは、東京型銭湯の特徴を表す「子宝湯」の復元建造物だ。東京型銭湯では絵や写真に加えて、経営者の思いやこだわりもパネルなどによって展示されている。

子宝湯(復元建造物)。堂々たる外観が昭和の銭湯の証しでもあった

 第3章は「銭湯黄金時代」と銘打たれた。終戦後、急速な経済復興と高度経済成長と歩調を合わせるように銭湯の数は増えていく。ピークは昭和40年代だった。最盛期を迎えた当時の姿を、漫画や音楽などで振り返る。銭湯から広まったケロヨン桶(おけ)などの商品が郷愁を誘う。

 第4章「平成の銭湯」では、数こそ減ったが、決してなくならないであろう、いや、なくなってほしくない銭湯の意義が提示されている。設備やサービスは時代に合わせて変わっていくが、その存在意義は変わらない。なぜなら、そこを利用するのは、昔と同じ心を持った人間そのものだからだ。

露天風呂のある銭湯(堀田湯)にしか出せない風情がある

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