手がかかる「個」ほど可愛い ⁉︎ オーディオの営み

 そこに至る以前にUSB、スピーカーケーブルにも凝りたくなる。プロショップで話を聞いて吟味しても、実際に家で繋げて聴くと自分の思っていた音とは違う場合も少なくない。そこでまた、試行錯誤が繰り返されることになる。曲によっては、音質の調整も必要だ。ソプラノの女性ボーカルを少しだけ引っ込ませければトレブル(高音)を下げ、ベースを利かせたかったらほんの少しだけバス(低音)を上げる。落ち着いて音楽に浸れるまでにはそんなふうに数多くの「タッチ」が必要だが、結果を思えば面倒もまた楽しいのである。便利になったと言っても、気持ちいい音のためには、これだけの手間がかかるのだ。でそれが、オーディオという営みなのである。

KT150真空管を4本使った、トライオードの最新真空管アンプはダイナミックでパワフルな音が楽しめる

 いったいオーディオの肝はどこにあるのか。ある人はアンプだとい言い、他の人はスピーカーだという。いやいや、レコードプレーヤーだという輩(やから)がいれば、ケーブルなどの細かい部分が重要だと主張する人たちもいる。口が悪いご仁は、それを「オカルト」などと形容する。結論から言えば、どれも大切で、それらを積み重ねた先に自分の満足する音に出合う。

 オーディオにおけるアンプは、真空管アンプにとどめを刺す。音を増幅するために使われる部品は、真空管が原点だった。以前に比べれば性能は上がっているが、非常に扱いにくかった。スイッチを入れて聴けるようになるまで最低でも2〜3分、物によっては、5分以上待たなくてはならない。(最新の真空管アンプでも、暖機運転を推奨するメーカーも少なくない)。電気も食う、振動にも強いとは言い難い。

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