未だ色褪せぬ歌謡曲は現代のセカンドインパクト

 昭和歌謡に括(くく)れるかどうかわからないが、日本のフォークソングも我々の心に残っている。50年近く前に大ヒットした曲を、ミュージシャンたちはいまだに歌っている。それなりに歳をとり、顔や髪形が変わってはいるが、声は全く変わってないのが面白い。ただ歌い方だけは少しだけ変わっているのだ。

 どこかの対談で、吉田拓郎が言っていた。「僕らの詩は、かなり成熟していたんですよ」。確かに、考えさせられる歌詞に扇動され、熱狂させられた。拓郎が自分が越えられない壁だという曲が「落陽」だ。かつては、勢いが目立っていた吉田拓郎も、70歳を過ぎて一段上の高みへと到達している。当時多くの音楽好きに大きな喝采とともに受け入れられた高中正義がゲストギタリストとして参加したライブは、今から見れば、勢いのみの感が否めない。ところが、最近のライブで披露される落陽は、正当なクラシック音楽の趣さえ漂わせている。名状しがたい威厳が備わっているのだ。

 また、「氷の世界」を何年か前のライブで歌う井上陽水の姿をYouTubeで見つけた。もともと迫力のある顔ではあったが、今では凄みを増し、アレンジを現代風に変えて、ギターを持たずに歌う陽水の姿は神々しくさえある。なんども歌うことで磨かれ、何段階かステージが上がった氷の世界を聴かせている。

ヨーロー堂の2階にあるキャンペーン用の舞台の脇にはかつてのヨーロー堂のロゴが残る

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