未だ色褪せぬ歌謡曲は現代のセカンドインパクト

コラム其ノ壱(特別編)

retroism〜article61〜

 みんな歌謡曲が好きだった。

 新宿にある「ディスクユニオン 昭和歌謡館」に一歩足を踏み入れた誰もがそう思う。オレもあたいも歌謡曲が好きだったんだと。

 昭和の時代に聴いていた曲が、カーラジオなどから流れてくると、思わず聴き入ってしまう経験は誰にでもあるだろう。それらの曲を聞き返してみると、凄さに改めて驚かされることもしばしばだ。例えば「襟裳(えりも)岬」。作詞・岡本おさみ、作曲・吉田拓郎、歌ったのが森進一である。まず凄いのがこのメンバー。さらに、詩は極めて牧歌的(つまりフォークソング的)であり情緒的だ。行ったことがなくても、まるで北海道南端にある岬にたたずんでいる錯覚におちいる。心に染み込むのは、拓郎のしっとりした美しいメロディー。歌っているのは、唯一無二の声の持ち主である偉大なアーティスト森進一である。「いまだに活躍している多くのミュージシャンは、歌謡界になんらかの足跡を残している」と言ったディスクユニオン昭和歌謡館の店長の言葉を、この襟裳岬という歌ひとつで証明してしまっているのだ。

かつては音楽を聴く前段階として、LPジャケットのデザインも重要だった

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