古典が現代に蘇る装丁に酔いしれる サロンの顔も

 あおば堂がユニークなのは、古本屋であると同時に、サロンとしての顔があること。青木さんの広い興味がそのよりどころであるが、共感する人たちをつなげていく場所になっていると、青木さんは胸を張る。

   「元々は、私がコントラクトブリッジというカードゲームをやっていて、自分の成績が伸び悩んだ時期があったんです。このゲームは記憶力を必要とします。そんな時に、NHKの番組で記憶力アップのために、速読がいいという特集を見ました。『これはやらなきゃ』と思ったのがそもそものはじまりでした」。そこで速読教室に通い始める。練習のために、本をたくさん読むようになった。「ピーク時は、1日7冊ぐらい読んでいたこともあります」

新しめの古本で、表紙が奇麗で気に入っているものを平置きに。サロンが開かれるときには、これらの本が片付けられて会場になる

 やがて本を読むことで、情報のインプットはあったが、アウトプットがないことに物足りなさを感じるようになる。「そんな時に、速読の先生から読書会を紹介されて行ってみたら、面白くなっちゃって」

 いろいろな読書会に参加しているうちに、自分でも読書会を開くようになる。「一番最初にあったのは、さまざまな人が集まって何かをするコミュニティースペースを作りたいという思いでした。コントラクトブリッジを教える教室を開きたいという気持ちも同時にありました。その頃、本もたくさん読んでいたので、本屋の形をしたコミュニティースペースは理想かなと思うようになったのです」

「アメリカのクラシックカーの格好よさにメロメロになりました」と青木さんがうっとり

 結果、出来上がったのは、さまざまなイベントや読書会などが定期的に開かれる古本屋だった。ガラス張りの入り口に書かれた店名の下には、「COLLECTIVE INTELLIGENCE」とある。意味するのは、青木さんがイメージするサロンの有り様だという。

   「集う人たちの知性(INTELLIGENCE)を高め合う場です。目的は、インプットされた知識をアウトプットすることで知性に昇華していくこと。私が目指したいのは、少し大げさですが、ヨーロッパのルネサンス期にイタリアやフランスで流行した『女主人が主催したサロン』なんです」

猫好きの青木さんらしく店名の横にはかわいらしい猫の絵

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