自慢は北欧関係の棚 人生を豊かにする良書と邂逅

 今の時代、新刊だけを扱うのは商売的には厳しい。古本を同時に売っていくのは、自然の流れだった。店をオープンさせたのは2016年の1月。4年経っても、小張さんは新刊に対する思い入れは持ち続けている。「なぜなら、今という時代の空気感が詰まっているからです。生きている著者が、今という時代に対してなにかを問うているのが新刊本です。文芸であっても絵本であってもそれは同じ。その中から、自分がこれだと思う本を薦めたいとうのが、僕の根本的な欲求としてあるんです」

「Between the Lion」はパペット付きの学習ブックだ。

 ただ、書店を続ける中で、古本の面白さも同時に味わっていると小張さんがうなずく。「もともとは、自分の選んだ本を読者に届けるのが僕の願いでした。ところが、古本は買い取りなので、僕の知らない本がたくさん入ってきます。自分の興味の範ちゅう以外の本が、ひるねこBOOKSの半分の空気を作ってくれている。新刊は自分の責任で仕入れますが、そうすると自分のセレクトショップになってしまう。古本は、街の人またはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて遠くから送ってくれる人が読んだもの。彼らの趣味だったり志向だったり、雰囲気であったりが店に入り込んでくる面白さがありますね」

子供の頃から図書館が身近で、物心ついた頃から本があるのが当たり前だったという小張さん

 古本は誰かの手を経由して小張さんの元へと届く。時間経過の中で、重層的な魅力を確実に持つことになるのだ。それらは、暮らしの中に豊かな空間を作ると小張さんは力を込める。「本から得られるものは、とても深いんです。古本ならばなおさら。誰かが読んだものを引き継ぐこと。内容も含めて、誰かが読んだということに対する共感は、思考や感情を豊かにしてくれるのです」

若い作家の絵本やグッズなどもコーナーをつくって販売する

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