「男はつらいよ」の全てが集結 寅さんに再会も⁉︎

 畳の部屋へ上がる手前の板張りの擦り切れ加減も、実際に使っていた感じが良く出ている。並べられているポットや湯飲みも、遠い記憶の中に必ず残っていそうなものばかりだ。「人の営みがあったんだなという展示になっていると思います。シリーズが長いので、時代に合わせ、作品によって置いてある小道具や家電が変わってるのも面白いですよね」。くるまや裏にあるタコ社長の朝日印刷所は、映画の中で使われたものではないが、本物の活版印刷工場から拝借してきた活版印刷機や組版のための道具などが並べられ、当時の印刷所が見事によみがえっている。


くるまやの茶の間を再現したセット。和室の下に設置されたスクリーンでは、さまざまな名場面が見られる仕掛けだ

 記念館のもう一つの特徴は、いわゆる昭和の暮らしが、随所に見られるところにある。その最たるものは、緻密に作られたタイル張りの流しや食器棚だろう。「映画にはほとんど映らない部分ですが、きちんと作ってあるところが、山田監督のこだわりです。湯飲みやポット、家電製品も時代を感じさせるものを置いています」


実際に作られた台所のセット。「映像ではほぼ登場してないはず。タコ社長が歩いた時に、ちらっとぐらいは出てたかもしれません」と井上さん

 奥へと進むと帝釈天までの参道に並ぶ商店のジオラマだ。細かい部分まで作り込まれた昭和の風景が展開するのである。寅さんが鈍行列車を使って旅をしていたことにかけて、当時の駅舎の様子や電車の車内も再現されている。「実際に駅で使っていたものを、京成電鉄からお借りしたものです。切符ばさみや駅の帳簿なども本物です」。否応無しに、ノスタルジーに浸ってしまう。

予告などを見せる、ロビーカード(映画宣伝用素材)。実際に貼っていたものを苦労して集めた。良く見ると画びょうの跡も見える

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コメント

  1. 西村公志 より:

    寅さんの新作見に行きました。映画館のスクリーンに男はつらいよと文字が浮かんだ時、何故だか涙が出てきてしまって。。辛いとき苦しいときいつも「男はつらいよ」のDVDを繰り返し見ながら元気をもらって目の前の現実と戦ってきと気がします。寅さん記念館是非行ってみたいと思います。

    • SHIN より:

      レトロイズム〜retroism visiting old, learn new〜をご愛読いただきありがとうございます。
      私も「男はつらいよ」シリーズの寅さんのセリフからいろいろなことを学びました。
      ぜひ寅さん記念館に行ってみてください。