オーディオマニア垂涎のレアなアイテムがズラリ

   「アルニコでスピーカーユニットを作ってるのは今世界で唯一ローサー社だけです。1935(昭和10)年から設計図を書き始めて、発売されたのが50(同25)年。それから同じものを作り続けています」。人間の声なら、目の前で歌っているかのごとく、バイオリンの音は、馬の尾で作られた弓毛が弦の上をなでている、そのものズバリの音が出るのである。「スタジオのドアを開け、中に入って聞こえるのと同じ感覚が味わえるのが、アルニコなんです」。そのアルニコの音を100%引き出すキャビネット(筐体=きょうたい)がある。「シアターキング」と名付けられたスピーカー群がそれだ。「オーディオの良し悪しは、スピーカーが90%、あと5%はアンプ、あと5%はソフトです」。スピーカーが作られ始めたのが20年代、それから100年を経た今、理想のキャビネットが完成したのである。

1945年に発売されたマランツ社のプリアンプ1号機。日本に入った台数がわずか10〜20セットの貴重品だ

 特徴は、リアロードホーンキャビネットと呼ばれる仕組みにある。簡単に言えば、スピーカーの後方に出てしまう音を巧みな構造で前方に出す。これによって、音源から放たれた音がすべて前へ出てくる。極めて密度の高い音が鳴るのである。また、曲線で作られた形状がユニークだ。原理は、楽器が曲線でできているという当たり前だが、普遍的な事実から始まる。

「だからスピーカーからの音も曲線に沿って出てこなくてはならない。楽器の音を再生するためには、四角い箱で鳴らしていると不協和音が発生してしまいます。この形は、この先ずっと残っていくと私は考えています。楽器本来の音を家で再生するためにはこの構造が必要です。そしてスピーカーユニットはもちろんアルニコです」

193040年ごろ、アメリカの公民館や映画館の天井につり下げて使われていたスピーカー 
 まさに、何百年も前に完成された楽器の形から、新しいスピーカーが生み出された。昔のアルテックやタンノイのアルニコをこの箱に入れると、必ず同じ音を奏でる。
いい音を知り尽くした鈴木さんが、CD再生の秘けつを教えてくれた。「ブルーレイプレーヤーで再生してください。理由は、半導体の発達に原因があって、今のCDプレーヤーは、半導体の開発が止まってしまっています。ところが、ブルーレイの半導体はどんどん良くなっている。プレーヤーは高価でなくて構いませんよ」

マッキントッシュMC275。ヴィンテージオーディオパワーアンプの神髄を堪能できる名機

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コメント

  1. ねこ丸 より:

    こんにちは
    昭和レトロには詳しいんですよね。
    実は、4~50年付ほど前なんですが、
    TEACとよく似た名前のTIACだったか綴りは間違ってるかもしれませんが、
    オーディオメーカーが有ったかと思うんです。
    その頃にオートリバースのオープンデッキ持っていたんです。
    今はそのメーカーを探してもでてきません。
    そのメーカーの名前と存在を調べています。
    それではよろしくお願いします

    • SHIN より:

      ねこ丸さま

      お返事が遅れて、すみません。
      私どももTIACというメーカーは存じ上げませんでした。

      埼玉のオーディオ専門修理店に電話してみました
      が、TIACというメーカーは聞いたことがないということでした。オートリバースには、名機「4010」ってのがあって当時99800円とまで教えてくれたのですが、メーカーほTEACでした。お店の人が言うには、長い間に社名は変わったりすることもあるので、TIACと言う名前を使っていた時代がもしかしたらあるかもしれないと言ってました。

      そこで、直接TEACに電話してみたところ、TIACというブランドでは機器を発売したことはないという答えでした。

      お役に立たずに、申し訳ありませんでした。
      今後とも、レトロイズムをよろしくお願いいたします。

                     ライター・今村博幸