古本が取り持つ素敵なえにし

 さらに、粟生田さんは言う。「誰かがいいと思った本を、別の人が古本屋で買うのは、前に読んだ人に共感してることになると思うんです。つまり、『共感』で人と人が繋がっているんですよね。素敵(すてき)なことです」

 そんな粟生田さんの本との関わりは、図書館から始まった。「近くに図書館があったんです。だから本を読むのが当たり前という感じはありました」。膨大な本が集められた書庫が、家のすぐそばにあるなど、本好きなら誰もがうらやむ環境だ。

美術系の書籍をきれいに飾りたい粟生田さんと、優れた審美眼をもつ白洲正子の展覧会のポスターは全く矛盾しない  

   「字が読めるようになる小学生ぐらいから、本にはなじんでました。小学生でしたから、よく読んでいたのは、コボちゃんとかサザエさんとか、占いの本だったと思います。なんとか字が読めるぐらいの年齢ですから、難しい小説というよりは、児童書のコーナーで、読める本を読んでいたと記憶しています。中学生ぐらいからは、教科書に載っていた小説を、単行本や文庫本で読んでましたね。教科書には、導入部分とか山場だけしか載ってないので」

「この店らしい一冊を」の問いに栗生田さんは「きみも悪魔博士になれる 悪魔全書(佐藤有文著)」を選んだ。「お気に入りの一冊です」

 その後、粟生田さんの興味は、音楽へと傾いていく。「『ROCKING’ON JAPAN(ロッキング・オン・ジャパン)』が取り上げていた、スーパーカーとかナンバーガールなんかのCDはよく聞いてました。そのあとは、エレクトロニカとか、ロックやフォークも好きになりました」

 この時代の音楽を、比較的満遍なく好きだったこともあり、CDショップで働き始める。「当時は、本よりも音楽の方が好きだったかもしれません。でも、仕事にしてしまうと、逆にストレスに感じてしまい、そこから離れるために、また本を読み始めたという感じです」

「ドラえもんやゲームキャラクター、ウルトラマンなどのフィギュアは、日本人よりも海外の方に受けます」と粟生田さん 

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