古着が最先端に 類まれなるトンデモ空間

 後藤さんが自分の店を開いた理由はシンプルだ。「リメークした服の卸しもしていたんです。でも、その店に合わないと置いてもらえません。自分の店なら、自分の好きなものが並べられますからね」

 もともと今の店がある裏にあった古着屋で働いていたが、北口には服屋がほとんどなかった。わざわざ1店舗だけのために客は来ないと考え、出店を考えていた知人を誘って、今の場所で店を始める。5件ほど店が集まった時に、場所の名前をつけたほうがいいと考え、「キタコレビル 」と命名した。「北口とコレクションを合わせて縮めました」。店名は、オープン当初一緒にやっていたパートナーと考えたものである。「英語じゃない方がいいと思っていました。人が覚えやすい言葉は5文字程度、ってどこかに書いてあったのを思い出し、ひらがな5文字の候補を2人で出し合いました。最後に残ったのが、「はやとちり」と「ひとみしり」の二つ。相方が、『俺は人見知りじゃないから、こっちばボツ』となって、今の店名に決まりました」

店主の後藤慶光さん。左にちらっっと見えているのはミシン。大きな作業は家だが、ここでも服のリメークを行う

 その店名の意味づけが、とても真面目なところも興味深い。「元々の意味は『先取りして失敗する』みたいな意味です。でも、ファッションでとらえると、先取りするのはいいことですよね。最先端ってことで」

 店のコンセプトを尋ねると、特にないと後藤さんは言った。「コンセプトを決めると、好みが変わってきたときにシフトチェンジできません。だからコンセプトはないですね。その時その時に気に入った服、ピンと来たモノを店に並べます。気分なんで。最初に見て格好良くないと思っても、年数後に見たら格好良かったりもします。要はタイミングですね」

店内はとにかく色であふれている。これも後藤さんの感性と感情が優先された結果だ

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