ピンボールや射的も楽しめる昭和なテーマパーク

 一方、神社の縁日に欠かせないアトラクションだったのが射的ゲーム。こちらはさらに単純。ライフルの銃口にコルクの弾を詰めて的(まと)を狙う。的は、箱入りの菓子やぬいぐるみだ。射的で遊ぶ際に不思議に思うのは、その菓子やぬいぐるみが必ずしも欲しいものではないところだ。当てて楽しむだけ。しかし、景品を受け取った時の達成感は、ちょっと他では味わえない魔力に満ちていた。この柴又ハイカラ横丁にある射的コーナーは、射的用品を扱っているところに作ってもらった。「当然、市販品としては売ってませんからね.。最近こういうたぐいのものを作るときには、新しい材料で作って汚し加工をし、それっぽく見せるのが普通だと思うのですが、私が頼んだ人は、古い材料を探してきて作ってくれた。だから見た目がリアルでしょ?」と韓さんが不敵に笑う。もう一つ面白いのが、「射的コーナー」という看板のサブタイトル。横に小さく、「当ててトクする」と書かれている。大変失礼ながら、疑問符をつけざるを得ない(本当に欲しいものがないと言う意味で)。

沖縄限定の元祖ボンカレー「沖縄の人たちはこの味じゃないと満足しないらしいんですよ」と韓さん

 さらに、2階に併設されている「柴又のおもちゃ博物館」も、しっかりと作り込まれた、エキサイティングな空間である。「オープンしたのは、1階の店を開いた2004年の翌年でした。こんなものを置いてみたらって声をかけてくれた人がいたんです」。中央には、スロットカーのコースが設置され、奥へと進むと再現された茶の間がある。所々がすりガラスになった窓から見えるのは、無造作に並べられた白黒テレビや茶箪笥(だんす)、ちゃぶ台などだ。その隣には、宇宙人やロボット、ウルトラマンなどが姿を現す。「業者の人に、ジオラマが欲しいって言ったらこうなりました。凝り性な人だったみたいです。ロボットや宇宙人も自分で作ってくれました」

白黒画面のテレビに映るのは力道山の試合など。中は液晶テレビで外観が古いだけだが、アイテムとして十分に面白い

 その他、文房具や昭和50年代に発刊されたであろう少年マガジンなどの雑誌も並ぶ。博物館に飾られているものは、店を開く時に知り合った人や、近所の人たちから借りているものが多い。どうやら、人との繋がりが重要なポイントになっているらしい。「店を作っているときから、近所の人が声をかけて寄ってきてくれたり、古い看板を貸してくれたりしました。鉄腕アトムも、近所の方からお借りしています。子供の頃から持っていて押入れの奥にしまわれているものって、大抵は、何かの機会に親に捨てられちゃうパターンが多いですよね。それが捨てられずに残ったモノが結構たくさんありました。それらをお借りして陳列しています」

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