愛され続けて百十余年 亀の子束子よ永遠に

 話を聞けば聞くほど、亀の子束子の偉大さがわかる。ひとつだけ問題があるとすれば、値段だ。たわしは100円ショップでも買える。一方、亀の子束子は、普通サイズ(1号)1個が390円(税抜き)する。しかし、性能と耐久性を考えれば亀の子束子に軍配が上がる。特に耐久性はケタ違いだ。「キッチンでしばらく使った後は、お風呂場で、さらにトイレへと、使う場所を変えていけば長く使えます。やがて先がいい感じに丸くなるので、その後は家の外階段や、車のタイヤなどを洗っていただけば、さらに長くで使えますよ」と、石井さんはうなずいた。「それを考えれば、そう高いものではないと私どもは考えています」

こうして飾れば、不思議なオブジェ。オレンジの包装紙がトレードマーク。昔は紙だったが、今は、プラスチックに変わっている

 実際、亀の子束子の人気は根強い。だからこそ、100年超えのロングセラーになってるのだ。他のたわしを使ってみて、「やはり亀の子へ」、と言う人も少なくないという。「素材は天然、すべて職人の手で作られ、検品も、ひとつずつ行ってます。品質には絶対の自信があります」。それを聞いただけで、会社の誠意がわかるし、さすが老舗と納得してしまうのだ。

西洋建築の社屋が、戦火を逃れて今も 現役。近代建築ファンにも人気がある

 色や形、素材を含めると、現在たわしは50種類にも及ぶ。用途に合わせて、ぴったりのひとつを見つけて実際に使ってほしい。その、性能の高さ、洗浄力の凄さに驚くはず。家中ピカピカになる気持ち良さは格別だ。

 次世代と言わず永遠に残したい逸品。それが亀の子束子なのだ。

かめのこたわしにしおしょうてん
東京都北区滝野川6-14-8
📞03・3916・3231
営業時間:午前9時〜正午、午後1時〜午後5時
定休日:土、日、祝
https://www.kamenoko-tawashi.co.jp/
文・今村博幸 撮影・松本徹

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする