世界よ、これが日本のカメラだ!

 やがてカメラはデジタルの新時代へと移行する。誤解を恐れずにいうと、「今、フィルムカメラは滅亡の危機を迎えている」のである。だからこそ、フィルムを使ったカメラを見直したい。そして、アナログの艶(つや)っぽさを改めて感じてほしいと願う。石王さんは言う。「日本のカメラは海外の製品の模倣から始めてトップになった。その流れを知ってほしいと思います。詳しく見れば見るほど、多くのドラマが隠れているからです。また、小学生を含めて若い人には、ぜひとも本物を見ていただきたい。見方は、可愛いとか格好いいとか、単純なところからでいいと思います。じかに見てもらって感じてもらいたい。カメラできれいな写真を撮ったり、カメラが欲しいと思ってもらえる第一歩になれれば、博物館としてもうれしい限りです」

大正時代の古い写真館にあった道具たち。奥に見えているのは、移動式の暗室

 最後に石王さんはこう締めくくった。「本来、カメラは歯車などで作られたメカニックな機械です。そのメカが精密に動いて、写真という形あるものを残します。からくりの究極の形と言ってもいい。しかも機能美まで備わっているのがカメラの魅力だと私は思っています」

日本におけるカメラの最初から最先端まで、カメラの歴史をくまなく見て回れる。自分にとっての懐かしいカメラを探すのも楽しい

 比較的こぢんまりとして見学もしやすく、カメラの歴史や仕組みを学べる博物館。展示されている名機や珍品は郷愁を誘う。同時に垣間見えるのは、日本人の英知と技術、そして誇りである。

にほんかめらはくぶつかん
東京都千代田区一番町25 JCIIビル
📞03・3263・7111
営業時間:午前10時~午後5時 定休日:月曜日
https://www.jcii-cameramuseum.jp/

文・今村博幸 撮影・柳田隆司

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