懐かしくも新しい秩父のパイオニア

  昨年から店に入った息子である淳(じゅん)さんは、小泉さんにとって心強い存在だ。「イタリアンの店にいたんですよ。本当は、別に店を出させようと思ったんですが、そうすると私が楽できないのでね」。本気ともジョークともとれる言い方だが、淳さんの腕を認めていることに違いはない。小泉さんが築いてきた味に、今どきのイタリアンの技術が加わったことで、新生パーラーコイズミの味が楽しめることになった。

昔の写真を小泉さんが見せてくれた。店は3回ほど改装されている。時代を経ても、パーラーであり続ける熱意が話から伝わってくる

 パーラーコイズミの真価は、ナポリタンなどの原点の味が、しっかりと受け継がれているところである。親から子へ、歴史に立脚するパーラーコイズミは、懐かしさと新しいものを上手に融合しながら、秩父の食文化を担っているのだ。「昔からあるメニューに関しては、味がぶれてないかを店の者全員でチェックします。いい加減なものは出せませんからね」

客を迎えるガラスの自動ドアは、さりげなくおしゃれだ。緑が飾られているのも気持ちがいい

 かつて最先端だったことが、懐かしいものへと変わるのは、歴史を経てきた証しである。パーラーコイズミには、外観に惹(ひ)かれて店に入る客も多いはずだ。そんな彼らも、一度料理を口にすれば、「秩父生まれのパーラー」の原点である味がしっかりと受け継がれていることに膝を打つことだろう。看板に偽りなしだ。

ぱーらー こいずみ
埼玉県秩父市番場町17-13
📞0494・22・3995
営業時間:午前10時~午後8時
定休日:第3木(臨時休業あり)
文・今村博幸 撮影・柳田隆司

 

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