古き良きアメリカの空気にテンションマックス

 「この仕事の面白さは、仕入れで好きなアメリカに行き、その土地を自分の足で踏めること。ごちゃごちゃと店が並ぶ賑やかなスワップミートなどを巡る醍醐味(だいごみ)も格別ですね」と針生さんは現地を思い出すように遠くを見つめた。「あと、古いものは状態が一つひとつ違っているので、いい状態のものをいかにリーズナブルに手に入れるかという商売的な面白さがあります。もう一つは、古い看板やディスプレーのケースなどにはどうしても傷がついてしまいます。それらの傷がどうやってできたのかを想像するのが楽しいんです」

レジ横に置かれたビキニの美女にメロメ
ロ。ぐるぐると回っているのも魅力的だ

 どういう場所で使われていて、傷がついたのだろうというようなストーリーを勝手に妄想する。それだけで、使われていた時代の風景が広がっていく。「ぬいぐるみや人形も、状態がいいと仕入れますが、状態がいいということは遊んだ形跡が希薄。なんで持ち主は遊ばなかったんだろうとか、触ることさえはばかられるほど大事に扱っていたのかなどと、勝手に想像を膨らませます」。逆に破けたぬいぐるみも、遊び倒した証拠だし、本当に好きだったのだろうと思ってしまう。モノの裏にみえる小さなドラマを通せば、人間の面白さが見えてくるのだ。

裸でディスプレーされたレコードが何とも刺激的で、しばらく脳裏から離れなかった

 「古いモノのコレクターは、割とジャンルに特化して集める人が多いのですが、僕はいいと思ったらなんでも買ってしまいます」。だから、店に並ぶ商品のジャンルは、めまいがするほど多岐に渡る。商品を委託販売するための「スペース貸し」もしているので、バラエティー豊かだ。「ベースは1950〜80年代のアメリカのモノが中心ですが、それ以降に作られた食器やちょっと変わったキャラクターモノなどもありますよ」

アメリカンカルチャーのほぼ全てを網羅すると思われる店内。個性的な商品が所狭しと並ぶ

 面白いのは、「紙モノ」が随所に飾られているところだ。「個人的に好きなんです。車関係の雑誌やマニアックなポスターなどですが、ほとんど売れません。極めて個人的な趣味です」。さらに、シリアルの入っていた箱に視点を向けるのも、針生さんのユニークなところだろう。「現地でケロッグなどのシリアルを買って食べて空き箱を潰して持ち帰ります。こちらは、最近ちょっと人気が出てきてますよ」と複雑な表情で針生さんは言った。

ランプの下で本を読んでいるスヌーピー。可愛い

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