あの頃、恋い焦がれた昭和の名車に思い巡らせ

 スカイラインGTーRと並ぶスポーツカーといえば、フェアレディZ抜きには語れない。源流はダットサン・フェアレディで、国産初の200km/hオーバーを記録したのが通称フェアレディ2000(SR311型)だ。フェアレディZとなる初代(S30型)はノングノーズ・ショートデッキの斬新なフォルムでカーマニアを虜(とりこ)にした。特に筆者の心を動かしたのは「グランドノーズ」と呼ばれるFRP製のフロントバンパーと一体型のエアロパーツやオーバーフェンダーを身にまとった「240ZG」だ。特にイメージカラーでもあるグランプリマルーンの車体は子供ながらに超絶カッコイイと思った。

フェアレディZ432の生産台数は419台。貴重な一台だ

 若者のクルマ離れが進んでいる。彼らにとって、クルマは単なる移動手段にすぎないのかもしれない。自動車メーカ各社は、HV(ハイブリッド社)やEV(電気自動車)に力を入れる一方で、クルマの楽しさを訴えるべく、トヨタは86(OEMでスバルBRZ)やスープラ、ホンダはNSXを復活させている。

 クルマの魅力は利便性や居住性、燃費の良さだけではない。今のクルマに欠けているのは、個性的なスタイルや希少性、「いつか手にしたい」と思わせる憧憬(しょうけい)なのかもしれない。

文・SHIN 撮影・柳田隆司

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