「古いが新しい」カメラと写真の情報発信基地

 まるでブティックを思わせる1階に入ると、オリジナルグッズやカメラ関連の書籍・雑誌が目に飛び込んでくる。注目は中央にドンと備えられたポップアップスペースだ。取材当日は、最近特に若者の注目が集まっているレンズ付きフィルムが並んでいた。このあたりのセンスも他とは絶妙に差別化されている。

曲線と直線を組み合わせた棚に新品カメラが並ぶ。正面が鏡になっていて、ちょっとした迷路状態。面白い

 新品のカメラから中古まで多くの種類と数をそろえるが、力を入れているのは中古カメラ、特にフィルムカメラだ。古い個体をもう一度見直す理由を丸山さんは説明する。「中古カメラは、ヴィンテージも含めてある意味で一点ものなんです。状態もさまざまで、ちょっとした傷も含めて、前に使っていた人をしのばせるばせる残り香(のこりが)が染み込んでいて、新品とは違う魅力があります。傷は、値段にも関わってきますから、少々の傷なんか気にしないから安く買おうという人がいてもいい。さまざまな視点でお気に入りのカメラ見つけるのも一つの楽しみです。それぞれのお客様の価値観で選び、本当に手に入れたいと思う一台を見つけてほしいと思います」

  1925年製の改造されたライカ。写真手前はⅢ型、奥が
Ⅱ型だが、シリアルナンバーが続き番号になっている

 さらに、フィルムカメラでは、最新のデジタルカメラでは味わえない妙味がある。10年ぐらい前からフィルムを使う人が少なくなった。理由は明白で、若い人を中心にスマホで撮るのが当たり前になり、オールドファンはデジタルカメラで気軽にというのが中心になってきたからだ。「でも、フィルムカメラを使ったことのない人が、独特の写り具合の面白さに改めて気がついたり、現像してプリントするまでのドキドキ感がたまらないという人も増えてきたんです」

在庫商品のチェックもきめ細かに行われている。店員の真剣な目が店の質の高さを物語る。印象深い姿だ