としまえんの94年の歩みと思い出をたどる企画展

練馬区立石神井ふるさと文化館(東京・石神井公園)

retroism〜article118〜

 幼少の頃の記憶は、はっきりと覚えていなくとも、心のどこかに残っているものだ。大人になってひょっこりと顔を出した時、ほんのりと湧き上がるのは、温かな気持ちだ。遊園地の思い出もその一つである。脳裏に浮かぶのは楽しかったことばかりだ。

 日本の遊園地の元祖はどこか定説はない(一説には浅草花やしきと言われる)が、近代型遊園地の始まりは1910(明治43)年以降である。第一次世界大戦後、26(大正15)年に開業した「としまえん」の登場は、本格的遊園地の黎明(れいめい)期ということになる。そのとしまえんが2020(令和2)年8月31日に閉園した。

ウォーターシュート=昭和301955)年、練馬区蔵

 東京都練馬区立石神井公園ふるさと文化館で現在開催されている企画展「思い出のとしまえん」は、閉園が発表された昨年の6月以来、園の輝きをもう一度感じたいという区民の声を受けて実現した。期間は11月7日までだ。

 多くの人たちに、「うれしい不意打ち」とも言える驚きの話題と乗り物で愛されてきたとしまえんの歩みを写真や資料、広告など約200点によって振り返る。流れるプールは世界初、ダークライド「アフリカ館」は日本初。さらに、同園の象徴的存在でもあり、現在は機械遺産に認定された世界最古の回転木馬「カルーセルエルドラド」の印象的な壁面装飾の実物がライトアップされて飾られている。

カルーセルエルドラド=株式会社西武園ゆうえんち〔旧会社名:株式会社豊島園〕画像提供 

 もう一つの名物は、「プール冷えてます」などのユニークなポスター広告のキャッチフレーズだった。特に、4月1日のエイプリルフールの一枚は傑作だ。「史上最低の遊園地」。頭を抱えたおじさんが「来るんじゃなかった!!」と唸っている。「広告に見る『としまえん』」ゾーンで、改めて見ると、そのセンスに思わずクスッと笑ってしまう。

 また、10月24日には、乗り物から振り返る「としまえん」と題する講演会や、10月2日と21日には担当学芸員による展示説明会、10月3日、10日、17日、11月6日と7日には、「としまえんイベント記録映画の上映なども行れる。

ウォータースライダーハイドロポリスのポスター=昭和631988)年、練馬区立石神井ふるさと文化館蔵

 時代と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、94年という長い歴史を有した老舗遊園地を我々が失ったことは事実だ。だが、あえて悲しいとか寂しいとは言うまい。しかし、アンコール(復活を望む)の声と拍手はまだやみそうにない。

 午前9時から午後6時まで。月曜休館。練馬区立石神井公園ふるさと文化館。入場無料。問い合わせは同館03・3996・4060。

【レトロイズム編集部】

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