文豪も愛した昭和を象徴する小さな西洋旅籠

 駿河台の丘の上なので、東京のど真ん中なのに、空気感は緑色、森の中にポツンとあるようなこのホテルは、作家が多く集まるホテルとしても名をはせた。「その頃の作家たちは、世のクリエーターの最先端にいた人たちです。ここは彼らの感性が磨かれた場所であったのだろうと思います。そんな、『ここにしかないもの』を残したい思いがあります。特にこれからは、若いお客様にも来てもらって、クラシックという理由だけではなく、ホテル内外観を見て感じて、感性が磨かれる場所として、人に集まっていただければと願っています」直線やジグザクの意匠が施された外観は、誰の印象にも強く残るアール・デコ様式

 人や家具の匂いがちゃんと残っている。文化の雫(しずく)のようなものが漂い、肌から染み込んでいく。思いを巡らせたり、ものを考えたりすれば、その思いや考えがどんどん深くなっていくと思わせるなんとも不思議なホテルでもある。

やまのうえほてる
東京都千代田区神田駿河台1-1
📞:03-3293-2311
文・今村博幸 撮影・JUN
 
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする