レトロイズム・チャンネル開設しました

レトロイズム・チャンネル

retroism〜article105〜

 レトロイズムでは、ひと昔、あるいはふた昔前という切り口で、人の生き様のかけらを紹介してきた。取材に訪れた場所で語られた、多種多様のストーリーは、「昔は良かった」というような懐古主義的なものは一つもなかった。「かつて、こんないいモノが存在していたんだよ。それがこれからも続くんだよ」という、あくまで前向きな言葉の連続だった。それは、レトロイズムが発信したいことと一致する。我々が行ったのは、それら珠玉の物語を代弁しただけに過ぎない。取材した店や博物館などには、奥深さや広がりがあったし、何よりも魅力的だった。おかげで我々のウェブマガジンは成り立ってきた。あらためてご協力いただいた方々には、感謝の気持でいっぱいである。

昭和の柱時計は令和の時代になっても「カチ、カチ、カチ」と時を刻んでいる

 そんなレトロイズムだが、今回、新たな試みを始めた。作った記事の映像化だ。実はこの話、ある映像制作会社からもたらされたものだった。正直に言うと、我々は、最初はピンと来なかった。「記事の映像化とは?」といぶかしく思ったことも事実だった。その理由の一つは、掲載している「画像」に絶対の自信を持っていたからだ。どの写真にも、被写体から湧き上がってくる場所やモノの本質が、撮影者の技術と魂によって見事に引き出され切り取られていると確信してやまない。それら人々の魅力と濃度の高い営みは、静止画で十分に表現できていると思っていた。もちろんその考えは今でも変わらない。しかし、違った視点で、レトロイズムを表現するのも、「面白い」のではないかと我々は思い始めたのだ。映像のモニターを見せてもらうと、そこには、レトロイズムの新たな息吹が感じられたからである。

かつて街のあちこちで見かけた「印紙、切手
類、郵便」を取り扱う看板。レトロ感満載だ

 今回新たに手掛けた映像は、基本的に、書かれた記事をシナリオに見立てて撮影された。我々が生み出した世界を、映像作家の視点を通して再構築したものである。第1弾は、一昨年取材した古い柱時計が店の象徴である「M‘s Bar」だ。引き込まれるような美しい映像と語りかけてくるような「時間の音」に耳を澄ませてほしい。そして、横浜を訪れた際には、バーのカウンターで飲む極上のビールを賞味いただければ幸いである。

レトロイズムの動画
https://www.youtube.com/watch?v=GP8f4WOSofM

文・今村博幸 撮影・柳田隆司、JUN
SPECIAl THANKS・フジエンタープライズ