レコード文化の真の楽しさを全ての音楽ファンに

 コンセプトは、「敷居は低く奥が深い」だという。いわゆる中古のレコードショップは、比較的こぢんまりした店が多く、コアなファンが多く訪れる場所のイメージは否めない。しかし、ここは違う。「天井が高く開放的なのが大きな特徴です。幅広い層のお客様に気軽に来店していただける。家族連れでバギーを押しても動きやすいスペースも確保しました」

 レコードに親しんでこなかった人でも、「レコード店」にあるワクワクするような雰囲気を気軽に楽しめる。実際に手に取れば、見応えのあるジャケットに魅了され、購買意欲は嫌がおうにも高まるのだ。「実際に、赤ちゃん連れのご夫婦も少なくありませんし、学生さんも目に付きますよ」。寺浦さんはほほえんだ。

LPを一枚ずつめくりながら求め
る音楽を探す作業が無性に楽しい

 タワーレコードが(卸売業として)日本に上陸したのは、1979(昭和54)年のことだ。81年には東京・渋谷区宇田川町に大規模店舗がオープンし、アメリカ盤レコードの販売が始まった。輸入盤特有の良い香りに包まれた店内は、レコードファンを拡大し、熱狂させたのである。そのタワーレコードが、新たにレコード専門店を作ったことは大きな意味がある。「ただ単に、タワーレコードがレコード売り場を作ったということではなく、あくまで独立したレコードショップという位置づけです。どのスタッフも、この場所を別格と考えています」

昭和に輝いていた日本のミュージシャンも豊富だ。チューリップのベスト盤で、青春を思い出し涙するご仁も多いはず

 音楽業界を取り巻く流れは、レコードというメディアへと傾いていると寺浦さんは言う。「最近のアーティストは若手やベテラン問わず、新譜をレコードでも出す人が増えています。ここも最初は、中古のLPのほうが多かったのですが、最近は新品譜と半々ぐらいになってます。結果として、若いお客様が多くなっていると思います」

 客層も幅広い。オープン当初から足を運ぶ、昔からレコードに慣れ親しんだ40〜50代の男性が中心だったが、新宿店が独自に応援している星野源が新譜のLPを出して注目され、若いリスナーの関心も高まった。「星野さんは、20代女性からも人気が高く、LPを自宅に所有しておきたいという気持ちにさせたようです」

アナログレコードのコレクターである社長もお気に入りのアルテックA5。アルニコが奏でる深い音が心に響きまくる

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