何もないが幸せだった ベーゴマとメンコの日々

 強くするため、メンコに手が加えられることがあったのもベーゴマと同じだ。メンコを張り合わせて分厚くし、ひっくり返りにくくしたリ、ロウを塗り重量を増やすというのもあった。中には、メンコの表面と裏面をはがして、間に鉄板を入れる猛者まで登場した。どんなに頑張ってもびくともしない。当時、クレームが出たかどうか忘れたが、今考えると完全に掟(おきて)破り、禁断の改造だったといえるだろう。

床目掛けてベーゴマを放つ。ワクワクする瞬間だ

 メンコの大きな特徴の一つは、表面にヒーローたちの絵や写真(割合としては絵のほうが多かったと思う)が、カラーで印刷されていたところだ。昭和40年代はじめに多く見られたのは、「月光仮面」、「パーマン」、「力道山」などであリ、ブロマイドの要素も兼ね備えていたと思われる。

 子どもの頃、熱狂したベーゴマとメンコをもう一度、手にとってみてほしい。大人なった今でも、あの頃の興奮が蘇るからだ。そして、夢中になっている自分が、なぜか、誇らしく思えてくるのだ。

文・今村博幸

 

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