戦中・戦後の少年雑誌にみるレトロな未来予想図

昭和館特別企画展(東京・九段南)

retroism〜article55〜

 戦中・戦後であろうとも、少年雑誌に描かれたSFの世界や冒険物、未来の想像図などは、子どもたちの憧れであり、彼らを夢中にさせた。

 そんな少年文化を紹介する特別企画展が、東京・九段南の「昭和館」で3月14日(土)から、『SF・冒険・レトロフューチャー 〜ぼくたちの夢とあこがれ〜』と題して開催される(注)。

   かつて子どもだった大人も興奮す
ること間違いなしの特別企画展だ
=写真はいずれも昭和館提供

 戦中・戦後という時代にスポットを当てるのは、同館ならではの切り口である。取り上げるのは、当時一世を風靡(ふうび)した作家たちだ。まずは、1914(大正3)年11月に大日本雄弁会(現・講談社)から創刊された少年向け雑誌「少年倶楽部」で活躍した樺島勝一氏。「ペン画の神様」とうたわれた挿絵画家の第一人者だ。さらに永松健夫氏が描いた紙芝居「黄金バット」、挿絵がふんだんに挿入された小説である絵物語のブームを巻き起こした山川惣治氏、SFおよび戦記物作品を数多く残した小松崎茂氏など。彼らの輝かしい画業を紹介しながら貴重な原画を展示する。

宇宙ステーション」原画(『たのしい三年生』号数不明)画:小松崎茂、モデルは、科学者ヴェルナー・フォン・ブラウンが提案した宇宙ステーション。昭和33(1958)年 個人蔵

 大人になった現代でも心の奥底に秘められている、昭和の子どもたちが抱いていた夢や憧れを、改めて掘り起こして見せる同展覧会は、レトロフューチャー(懐古趣味的な未来像)として、その輝きを失っていないことも再認識させてくれる。

『冒険活劇文庫』創刊号表紙:
松健夫「黄
金バット<アラブ
の宝冠>」昭和23(1948)
 年 

 展示は3部構成。「I空想科学(SF)の黎明」では、多くの子どもたちを魅了した樺島勝一の挿絵などを陳列。「II紙芝居・絵物語の世界」で観られるのは、子どもたちを熱狂させた絵と文からなる紙物語の世界だ。「Ⅲ少年たちの未来予想図」は、空想科学、いわゆるSFという言葉が定着した高度経済成長の時代の作品群がずらりと並ぶ。

 戦中・戦後の人々の暮らしに焦点を当てた博物館である昭和館が、子どもたちが描いた夢や憧れをどう切り取り見せてくれるか、大いに期待したい。

海野十三「浮かぶ飛行島」挿絵原画(『少年倶楽部』昭和13年2月号)画:樺島勝一昭和13(1938)年 講談社蔵/長崎県美術館寄託

  5月10日まで。午前10時〜午後5時半。月曜休館(5月4日は開館、5月7日は休館)。入場無料。問い合わせは同館(03-3222-2577)     

 【レトロイズム編集部】

(注)新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、3月16日(月)まで休館の予定。ただし、今後の状況によって臨時休館の期間が変更となる可能性があるため、来館する場合は、昭和館ホームページ、公式ツイッター及びフェイスブックで要確認。

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