路地裏を歩く 其の壱

三ノ輪橋編(東京・荒川区)

retroism〜article37〜

 今回から始まった特集「路地裏を歩く」シリーズ。栄えある第1回は昔ながらの風景が随所に残る東京・三ノ輪橋を散策した。

都営荒川線の終点、三ノ輪橋停留場で降りる。左手には亀の子束子(たわし)やオロナミンC、ボンカレーなどの懐かし看板が見える

停留場付近の旧王電ビルの下は、トンネルになっている不思議な空間。日光街道からジョイフル三ノ輪への入り口でもある

王子電気軌道のかつての路線図。今残るのは荒川線のみだ

旧王電ビルの外観。これも看板建築の一つ。下には古い写真館の入り口がある

ジョイフル三ノ輪を散策。絵に描いたような古い看板が、そこここに

どう見ても手で握られたおにぎり。食べずにはいられない

おかずのメインとして、サイドのもう一品として、ビールのつまみとして、夕食前の腹ペコの子供たちのおやつとして、王道の唐揚げ

ジョイフル三ノ輪を抜け、路地裏に。路地の向こうに時々走る路面電車が見えることも。一瞬だが、なんだかうれしい気持ちになる

よく見ないと見落としてしまうレリーフを見つけた。壁を飾るには少々地味すぎる

木製の竿(さお)受けと電柱に絡まるようにある電線が哀愁を帯びていた

古い街に必ずある「打ち捨てられた風景」が荒川線の線路脇にあった

 

 

三ノ輪橋停留場脇には里見稲荷大明神・白龍大神。手を合わせる人は少ないが、手水舎(ちょうずや)には水がたっぷり、アルミ製の柄杓(ひしゃく)も清潔だ

 

 

 

およそ今時のマンションにはつけないネーミング。いささか傷んだ外階段との対比がグッド

 

商店街から少しだけ離れた路地の裏に、現役バリバリの井戸。水は冷たいが、不思議と冷たい感じはしなかった

 


三ノ輪橋停留場付近に戻ってきた。歴史ある店のショーケースの中の商品サンプルは、たいがいが古ぼけているはなぜだろう。研究に値するテーマ?

あとがき

 都営荒川線(通称東京さくらトラム)はのんびり走る。全然急がない。まるで、スピードを競う今の時代にあらがうかのようだ。終点の三ノ輪橋停留場に入る直前には、さらにゆっくりになる。線路のつなぎ目を車両が通過する音は、電車とは思えないほど。一つ前の「ガタン」から次の「ゴトン」までがとても長いのだ。

 三ノ輪橋停留場を出ると、見えてくるのが「ジョイフル三ノ輪」という名前のアーケード商店街である。静かな商店街には、一通りの店が並ぶ。つい目がいってしまう総菜屋には、うまそうな揚げ物や煮物、おにぎりなどが視覚だけで食欲をそそる。多種多様な店が仲よさそうに隣り合ってるのを見ながら思うのは、昭和の商店街って、こんな感じだったということ。大半の店は、メンテナンスはしてるはずだが、懐かしい匂いをガッツリ残している。変わる必要もなければ、変わりたくもないのだろう。

 ところどころに現れる細い路地が、商店街に華を添える。明と暗で言えば、少し「暗」かもしれないが、路地は間違いなく華だ。商店街にアクセントや変化を与え、実際にその先は明るい。もし路地がなければ、商店街はノッペラとした感じになると思う。

 ジョイフル三ノ輪を歩きながら時々聞こえてくるのは、のんびりと荒川線が走る音である。懐かしくて心地よい響きだ。

文・今村博幸 撮影・松本徹

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする